2022年12月4日(日)

サムライ弁護士の一刀両断

2021年3月5日

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河本秀介 (かわもと・しゅうすけ)

弁護士

敬和綜合法律事務所所属。東京大学卒業後、三菱重工業での勤務経験を経て、2007年に弁護士登録。以後、会社関係訴訟、企業経営への助言、株主総会指導、M&Aアドバイスなど、コーポレート分野を中心に、幅広い内容の業務を遂行している。

海外事業者の場合、さらに手間がかかることも

 誹謗中傷がなされた媒体を運営する会社が海外系の大手プラットフォーム事業者などの場合には、さらに手間と時間がかかります。

 このような海外系の事業者は日本国内に事業拠点となる会社を置いていますが、往々にして「サーバの管理・運営は全て海外本社が行っている。日本の会社はサーバ内のことについて一切の権限がない」という姿勢を取っています。

 その場合、日本国内におかれた会社に対しては裁判手続を取ることができず、海外本社に対して手続を取らざるを得ないことがほとんどです。

 この場合でも、通常は、日本の裁判所で手続を取ることが可能です。しかし、海外の役所に問い合わせて登記簿を取り寄せたり、資料等を翻訳したり、海外に向けて法律に従った方式で資料等を発送(送達)したりしなければなりませんので、さらに手間と時間がかかります。

 また、あくまで一般的な傾向ですが、海外の事業者の中には必ずしも発信者情報の開示に協力的ではない会社もあります。発信者情報開示を求める裁判でも弁護士を立てて強く反論してくることも多く、「アクセス情報が残っているかどうか、裁判所の命令があるまで一切の調査に応じない」という方針を取っている企業も少なくありません。

投稿時のアクセスログを残さない事業者の出現

 これらに加えて最近では、誹謗中傷が投稿された時点のアクセスログを初めからシステム上に残さないケースも出てきています。

 例えば、世界最大手のプラットフォーム事業者のひとつは、2019年以降、自社のサービスにユーザが投稿した際のアクセスログを一切残さない方針を取っているようです。

 この場合、せっかくIPアドレス等の開示を求めても、元から記録が存在しないため空振りに終わってしまいます。アクセスプロバイダを突き止めることができないため、2段階目以降の手続を取るために必要な情報すら得られないことにもなりかねません。

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