2022年12月8日(木)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2021年3月21日

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樋泉克夫 (ひずみ・かつお)

愛知県立大学名誉教授

中央大学法学部、香港中文大学新亜研究所、中央大学大学院博士後期課程を経て外務省専門調査員として在タイ日本国大使館勤務。著書に『華僑コネクション』『京劇と中国人』『華僑烈々―大中華圏を動かす覇者たち―』(以上、新潮社刊)など。

[著書]

大人社会の都合に振り回される子ども

 当時の「小さな大人」は今や50代後半から60代前半に差し掛かっているに違いない。自分たちの勇ましかった子どもの頃を思い起こした時、現在の子どもが置かれた境遇をどのように捉えているだろうか。

 かつて大人は子どもを革命運動に駆り立て、いまや家庭の温もりは薄れ、教師は子どもを慈しみ育てることに生きがいを見出せなくなったようだ。半世紀ほど昔の「小さな大人」にしても、現在の子どもにしても、とどのつまり大人社会の都合に振り回されている点では大きな違いはないと思われる。

 魯迅は代表作である『狂人日記』を「子どもを救え」と結んだ。いまから1世紀ほど昔の1918年のことである。

 たしかに現在の中国は建国からの70年数年間のみならず、近代史においても経験したことがないほどの空前の物質的繁栄を誇っている。だが、今を生きる中国の子どもたちが置かれた環境から考えるなら、どうやら彼らが目にすることになる「中国の夢」は、習近平政権が思い描く程にはバラ色でもなさそうだ。

  
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