2024年11月22日(金)

World Energy Watch

2021年4月14日

温暖化対策には原子力発電

 今年2月欧州議会の会派、欧州刷新と保守改革グループが作成を委託した2050年ネットゼロへの道筋を示すレポート、”Road to EU Climate Neutrality by 2050”が公表された。レポート作成者は、不確実性が高い温暖化問題に取り組むためには、現世代に大きな負担を掛けることなく取れる対策を進めるべきとの立場に立ち、温室効果ガス削減のためコスト競争力がある電源を選択すべきとしている。

 レポートではチェコとオランダを取り上げ、両国において風力、太陽光、原子力発電を導入する際のコスト分析を行った結果、前提条件を変えても原子力が最もコスト競争力があるとの結論を出している。議員グループからはECはネットゼロ達成に原子力の利用を明確にすべきとの主張もでている。

 原子力発電については、廃棄物の問題から、温暖化対策に資する技術と考えるべきではないとの意見もあり、EUで検討されている持続可能な環境投資、経済活動の対象に含めるかどうかが議論になっている。そんな中で、3月ECの合同調査センターが、持続可能な投資と分類されている他の電源との比較で、原子力発電が健康被害や環境への悪影響をもたらすことはないという技術評価を明らかにした。

 温室効果ガスの削減目標が強化されるにつれ、原子力の利用を進めるべきとの意見がEUでは強くなってきている。2050年ネットゼロを宣言している日本も、経済への負担を抑え効果的に目標を達成するには原子力の利用を検討するしか方法はないように思える。

  
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