2024年4月20日(土)

From LA

2021年4月28日

接種済みのカードがパスポートに

 米国内ではワクチン接種済みのカードが実際にパスポートとして使用される事例が広がっている。国内線の航空機の搭乗時、職場復帰などにカード提示を義務付ける、という動きもある。一方でアレルギー性疾患などがありワクチン接種ができない人、接種を拒否する人などに対する差別になるのでは、という議論もある。

 筆者も周囲の友人に聞き込みを行ったが、6割以上が接種に積極的、あるいはすでに接種した、と答えたのに対し、「周囲のワクチン接種後の副作用などを見て、様子を見ている」「ワクチンを信用していない」などの理由で接種を見送っている人もいる。

 現在多くの国が入国時の制限を設けており、渡航前のPCR検査陰性証明、誓約書などの提出義務がある。PCR検査について、一部の空港と航空会社などが協力し、検査結果のデジタル送信システムの導入が検討されている。空港で出発前に検査を行い、その結果がデジタルデータとして航空会社、空港の入管と共有され、紙の証明書なしに入国審査を受けられる、というものだ。例えば香港のキャセイ・パシフィックとロサンゼルス空港が試験的にこの制度を導入した。

 日本でも日本航空がハワイ、シンガポールの空港との間でコモンパスと呼ばれるデジタル証明書の実証を開始したが、こうした試みは他にもVeriFly、IATAトラベルパスなどがあり、現時点では一本化されていない。

 しかしデジタルパスは今後PCR陰性証明ではなく、ワクチン接種にシフトする可能性が高い。スマホアプリなどでワクチン接種が証明できれば現地での自己隔離などなしに観光が楽しめる、というような使い方が考えられる。

 そもそもEUがワクチン接種済みの人の枠内入国を緩和する、と発表したのも、このままでは観光収入が絶え経済への打撃が大きくなりすぎるためだ。EUには年間500万人もの米国人観光客が訪れるが、昨年それがほぼゼロになったことで観光業だけではなく飲食業、交通インフラなどが大打撃を受けた。

 米国も同様だ。ハワイ州がいち早く海外旅行客受け入れを発表したように、こちらでは主にアジアからの旅行者が経済を支えて来た。コロナは怖いが、本音で言えば一日も早く国境を自由に開放して多くの観光客に訪れて欲しい、というところだろう。


新着記事

»もっと見る