台湾は正念場に
蔡英文政権のコロナ対策は水際でしっかりとウイルスの侵入を防止し、入ったあとも厳しい隔離で対応できるとして、基本的には自国民、外国人に関係なく入国を妨げない方針をとってきた。小さな感染拡大があったとしても、素早い疫学調査と濃厚接触者の隔離によって本格的クラスターを出さず、世界から「台湾モデル」と呼ばれて称賛された。
そのなかで基本的に面的な大規模PCR検査にも積極的ではなかったが、こうした台湾の手法に限界があると見る向きも今回浮上している。ワクチン確保が遅れていることもあり、蔡英文政権の対応を批判する声も上がっている。予兆としては今年1月に桃園病院で発生したクラスターで、当初の予想を超えた感染拡大が見られ、指揮センターでは急遽5000人規模の隔離を行なって3週間ほどで感染拡大を終息させた。
このときのクラスターの原因については、感染拡大のスピードと隠れ感染者の存在のリスクを見誤っていたという反省がすでに出されており、「PCR検査能力の拡大」「より厳格な感染の追跡」などの改善方針が示されていた。しかし、今回はこうした教訓が十分には生かされなかった可能性があり、これまでコロナ対策の優等生を誇ってきた台湾は正念場に追い込まれている。
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