どのように解決の道を模索していくのか
MLB(メジャーリーグ)では開幕当初、接種した日本人メジャーリーガー2人が副作用に悩まされた。5月中旬にタンパベイ・レイズからロサンゼルス・ドジャースにトレード移籍した筒香嘉智内野手もレイズ在籍時の4月末にワクチン接種で副反応を起こし、負傷者リスト入りしたこともあった。投打の二刀流で大活躍中のロサンゼルス・エンゼルス大谷翔平投手も今季開幕前の接種で体調不良に陥ったことを明かしている。
ちなみに今月23日にはプロ野球とJリーグ合同の「新型コロナウイルス対策連絡会議」終了後のオンライン会見の場で、NPB(日本野球機構)の斉藤惇コミッショナーが「ワクチンには副反応がある。アスリートの場合は、やはりコンデイションがベストを出すためには非常に重要。選手の立場からすると非常に悩むと思う」と発言。
同じオンライン会見でJリーグの村井満チェアマンは今後ワクチン接種の重要性を訴えていく一方で「受けない人の不利益がないことが必要。パフォーマンスへの影響をしっかり理解して向き合わないといけない」とも述べた。NPBもJリーグもそれぞれ野球とサッカーの競技で東京五輪に代表選手を送り出す組織だけに両トップの言葉には重みがある。
いざフタを開けてみたら、ワクチンの優先接種を受ける日本代表選手は副反応に対する懸念から当初の見込みよりも大幅に人数が減りそうな雲行きだ。しかしながら、参加するアスリートがワクチン接種を徹底できなければ当然ながら感染リスクが高まる。東京五輪開幕まで残り2カ月を切った中、日本政府や大会関係者が強く訴え続けている「安心安全の大会開催」への大きなネックとなってしまうのは必至だ。果たして、どのように解決の道を模索していくのか。その時間は限りなく少ないが、現実から目を背けてはいけない。
▲「WEDGE Infinity」の新着記事などをお届けしています。