2024年6月20日(木)

中東を読み解く

2021年6月14日

新政権の寿命

 国会での新政権承認は「60対59、棄権1」というわずか1票差の綱渡りだった。新政権は第2党「イェシュアティド」(17議席)の党首ラピド元財務相が生みの親だ。ラピド氏の説得を受け、7議席しか持たない「ヤミナ」のベネット氏が首相輪番制の提案に同意。最初の2年間の首相を務め、その後ラピド氏と交代するシナリオだ。

 だが、極右から左派、アラブ政党まで主義主張の異なる8政党の寄せ集め所帯だけに、「政権の寿命は短命」(アナリスト)という見方も強い。元々、「反ネタニヤフ」という共通項しか一致点はない。特に元ユダヤ人入植者の指導者でもあったベネット氏はパレスチナ独立国家に反対し、パレスチナ自治区ヨルダン川西岸の併合論者でもある。和平交渉の先行きは悲観的にならざるを得ない。

 このため、新政権は空中分解することを回避するべく、パレスチナ和平問題などには触れないようにし、経済やインフラ投資、社会保障政策など内政に集中して取り組む方針だ。だが、パレスチナ自治区ガザのイスラム組織ハマスとの戦闘が再開したり、イランの核開発への対応などが迫られたりした際、政権が崩壊する懸念もある。

 政争に敗北したネタニヤフ氏はリクードの党首として政治生命を維持したい考えだが、汚職容疑などで刑事被告人の身にとって、その先行きは厳しいものになるだろう。地元メディアによると、早くもリクード内ではエデルスタイン前保健相らがネタニヤフ氏に代わる党首の座を狙っているという。ちなみに、リクード内の人気ナンバーワンは情報機関モサド長官を辞めたばかりのヨシ・コーヘン氏である。

  
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