2022年12月7日(水)

WEDGE REPORT

2021年7月8日

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信用度アップル・デイリー

アップル・デイリーのサイトにアクセスするとこうなる

 では、アップル・デイリーはどの位信用されていたのか? 香港中文大学傳播與民意調查中心が3~4年おきに香港のメディアの信用度調査を行っている(10点満点で評価)。

 1997年(有料紙全14紙)の平均値は6.73で、トップは、英字紙の『サウス・チャイナ・モーニングポスト(SCMP)』の7.18、2位に香港の有名小説家で金庸が創設し、比較的中立の立場である『明報』の7.15、3位に英字紙の『英文虎報(ザ・スタンダード)』の7.11でこの3紙が7点を超えた。『アップル・デイリー』は6.24と平均値以下の9位で、同紙の天敵で親中派の代表的な新聞である『大公報』は5.24と13位だった。12年後の2009年(同全13紙)で見ると平均値は6.40で、1位は『SCMP』の7.57、2位は『明報』の7.35、『アップル・デイリー』は5.80と10位と信用度も順位も下げた。大公報は5.58と12位だった。

 10年後の2019年(同全11紙)は逃亡犯条例のデモ真っ只中の8月の数字。平均値は4.94で、1位は『SCMP』の5.89、2位は『明報』の5.72と不動の順位。『アップル・デイリー』は5.71と3位にランクインした。『大公報』は3.3と4.0を切り、最下位に転落した。

 実はアップル・デイリーの数字はそれほど大きな変動はない。しかし、SCMPはルパート・マードック氏率いるニューズ・コーポレーション傘下から1993年に中国と関係があるマレーシア華僑、郭鶴年(ロバート・クオック)氏の企業に買収され、2016年にアリババに買収されるなど、徐々に中国寄りに。明報はアップル・デイリー以上に反中の新聞としてしられていたが1993年に記者が中国の国家機密漏えいで、取材中の北京で逮捕されたことや2014年に編集長が襲撃事件に遭うなど徐々に中国批判が薄れていった。

 年を追うごとに強くなる中国政府の圧力自体が、親中派の新聞の信用度を自動的に下げ、多くの新聞も自主規制を働かせて中国批判を避けるようになった。平均値は2009年の6.40を境に右肩下がりでメディア全体への信用下がる一方だ。7月1日になると香港政府はアップル・デイリー以外の新聞社は返還を祝する1面広告の出稿を受けるが、多くのメディアは生き残るために変節したからこそもらえる公告だ。つまり、アップル・デイリーは存続するためにポリシーを変えることを拒否した。

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