信用度アップル・デイリー
では、アップル・デイリーはどの位信用されていたのか? 香港中文大学傳播與民意調查中心が3~4年おきに香港のメディアの信用度調査を行っている(10点満点で評価)。
1997年(有料紙全14紙)の平均値は6.73で、トップは、英字紙の『サウス・チャイナ・モーニングポスト(SCMP)』の7.18、2位に香港の有名小説家で金庸が創設し、比較的中立の立場である『明報』の7.15、3位に英字紙の『英文虎報(ザ・スタンダード)』の7.11でこの3紙が7点を超えた。『アップル・デイリー』は6.24と平均値以下の9位で、同紙の天敵で親中派の代表的な新聞である『大公報』は5.24と13位だった。12年後の2009年(同全13紙)で見ると平均値は6.40で、1位は『SCMP』の7.57、2位は『明報』の7.35、『アップル・デイリー』は5.80と10位と信用度も順位も下げた。大公報は5.58と12位だった。
10年後の2019年(同全11紙)は逃亡犯条例のデモ真っ只中の8月の数字。平均値は4.94で、1位は『SCMP』の5.89、2位は『明報』の5.72と不動の順位。『アップル・デイリー』は5.71と3位にランクインした。『大公報』は3.3と4.0を切り、最下位に転落した。
実はアップル・デイリーの数字はそれほど大きな変動はない。しかし、SCMPはルパート・マードック氏率いるニューズ・コーポレーション傘下から1993年に中国と関係があるマレーシア華僑、郭鶴年(ロバート・クオック)氏の企業に買収され、2016年にアリババに買収されるなど、徐々に中国寄りに。明報はアップル・デイリー以上に反中の新聞としてしられていたが1993年に記者が中国の国家機密漏えいで、取材中の北京で逮捕されたことや2014年に編集長が襲撃事件に遭うなど徐々に中国批判が薄れていった。
年を追うごとに強くなる中国政府の圧力自体が、親中派の新聞の信用度を自動的に下げ、多くの新聞も自主規制を働かせて中国批判を避けるようになった。平均値は2009年の6.40を境に右肩下がりでメディア全体への信用下がる一方だ。7月1日になると香港政府はアップル・