2024年4月19日(金)

海野素央の Democracy, Unity And Human Rights

2021年7月13日

「戸別訪問」の力

 ホワイトハウスのジェン・サキ報道官によれば、その狙いは的中しています。戸別訪問を行っているのは連邦政府職員ではなく、ボランティアの医者、信仰指導者及び、信頼できる地域のリーダーです。

 サキ氏はワクチンの安全性に懐疑的な国民及び、接種の必要性を感じていない国民を説得するのは、政府職員ではなく、地域の「信頼のおけるメッセンジャー」だと主張しました。確かに、同一のメッセージを発信しても、受信者にとって発信者が、信頼が高い人物か否かで効果性が全く異なってきます。

 サキ報道官は7月8日、記者団に対して南部アラバマ州では6月に14万9000人が初めてワクチン接種を受けたと、ホワイトハウスの記者団に述べました。加えて、フロリダ州並びにジョージア州でも接種率が高まり、戸別訪問の効果が確実に出ていると強調しました。

 ワクチン接種率を向上させる鍵は、若者、黒人及び、南部の共和党支持者です。バイデン大統領は黒人へのワクチン接種が困難である理由に、「タスキーギ・エアメン(1940~48年)」と呼ばれた米軍史上初の黒人航空部隊に関する記憶を上げました。米国では人種差別政策の下、アラバマ州の黒人大学であるタスキーギ大学で民間パイロットプログラムが始まり、黒人パイロットを採用するための「適性検査」が行われました。

 おそらくバイデン氏は、新型コロナウイルスのワクチン接種に関して、一部の黒人の間に「白人の実験台にされる」という警戒感があると言いたかったのでしょう。にもかかわらずサキ氏によれば、バイデン政権はワクチン接種率をアラバマ州で3.9%、フロリダ州で4.4%、ジョージア州で3.5%高めました。


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