先にロボット掃除機を使ったプログラミング教育の話をレポートしました(『小学校の「プログラミング教育」、ミニ ルンバでやってみた』)。他に面白い教材を使っている例はないか、サーチしたところ、ドローンを使っているところがありました。『ドローンを活用した「世界初 Egypt Giza Pyramid 360VR」はまるでアート』のワールドスキャンプロジェクトです。取材してみると、ドローンを教材にすると多種多様の可能性があることが分かりました。今回は、教材の多様化と創造性に関してレポートします。
ロボット掃除機より生徒の注目度が高い教材
先日、ルンバを教材に使ったら、すごく興味を持ってくれたことをレポートしました。しかし、ドローンは、どうもそれを上回る熱を持っているようです。理由は、知っているが、「実際に動いているところを見たことがない」からだそうです。
考えてみるとそうですね。量販店に行くと、ルンバもドローンも売っています。ロボット掃除機は展示エリアを行ったり来たり、こんな感じに動くんだというデモをしています。
一方、ドローンは、その場で動かすアピールなどはしていません。また、外でも飛んでいません。しかし、テレビの中では人気者。映画、ドラマ、アニメにも登場します。知っているのに、動いている実物を見たことがないのです。
それを動かせるとなるわけですから、興奮状態になります。そして、ドローンの眼とも言えるデジカメ。画像コミニュケーションは、若い方が得意ですからね。実際導入されたある学校は修学旅行先にも持って行ったとか。すごく盛り上がったそうです。
ドローンの現在
さて、ドローンは、無人航空機の内、マルチローターを持つ「自律式」のモデルのことを指します。登場してより何かに付けドローンは、いろいろな可能性が取り沙汰されていますが、最も卑近なところでは、「2023年より宅配に使われる」と言われています。
高名なドローンですが、宅配の実証実験エリアなどを除き、実物が飛行しているのを見かけることは、ほとんどありません。何でしょうか? それは法律で厳しく、超厳しく取り締まられており、法律で定められた種々の条件を満たさなければ、飛ばすことができないからです。
なぜ、こうまで法律で取り締まられるようになったのでしょうか?
理由は簡単。ヘリコプター(シングルローダー)と異なり、ドローンは誰でも飛ばせるからです。ボタン一つで離陸します。クルマを運転するよりは難しいのですが、ゲーム機に慣れている今ドキの子どもなら、大した時間もかけずに、自在に操るのではないかと思えるほどです。そのくらい安定しているのです。このため、「空」という今まで、日常ではほとんど使われてこなかったエリアが使える可能性が広がったのです。
いろいろな使われ方が考えられますが、その一方で問題も発生します。テロ、軍事にも容易に使われることです。ドローンのように小さいと、人知れず追跡することが可能ですから、安全エリアというものが事実上なくなります。実際、2021年6月22日には、AIを搭載したドローンが昨年春、内戦下のリビアで使われたと見られることが、国連安全保障理事会の専門家のパネル報告書でわかったという記事がでました。
プログラミングの有用性を肌で感じる
さてドローンをプログラミングするとあることに気付きます。それは、自分でコントロールするより確実なことが多い。というのは、コントローラーは左手で上下、右手で左右前後制御ですから、このコントロール結構難しいのです。
しかしプログラミングすると、自分が思った通りに動いてくれます。風などの条件で、着地位置がずれたりしますが、室内では常にほぼ同じ結果が得られます。
操縦の上手、下手は人によって差が出ます。ドローンの運転には運動神経と冷静さ双方が必要なので、全員がコントロールが上手くできるわけではありません。
しかし、プログラミングすると、誰でも同様に扱えるのです。これはロボット掃除機では得られない感触です。ロボット掃除機は、プログラミングがないと動かないでしたが、ドローンのプログラミングは人の代わりです。しかも、下手な人には自分より上手く操作するという体験。この自分でもできた感、自分でも何とかなるという感触は非常に大きいです。やる気がもらえます。