2024年7月16日(火)

Wedge REPORT

2021年7月26日

「東京五輪フィーバー」

 ところが、いざフタを開けてみたら今や日本全体がすっかり「東京五輪フィーバー」である。開会式の内容そのものには賛否両論あって未だに大きく評価が分かれるところだが、肝心のアスリートたちの「熱き闘い」と「感動の嵐」がテレビの視聴者やネットユーザーたちの心を奪い、虜にしてしまった感がある。

 実際、組織委関係者も「まさか、ここまでいい意味で早い段階から急に東京五輪がヒートアップするとは想像できなかった」と本音を吐露し「初日からハイペースで日本人メダリストが続々と誕生し、26日時点で日本は金メダル獲得数で中国に次いで2位につけている。そんな日本の躍進に引き寄せられ、国全体で応援しようというムードに拍車がかかっていることは言うまでもない。その上ほぼ無観客となり、東京を中心に緊急事態宣言が出される中、外出を避けて東京五輪をテレビ観戦する人もかなり多いようだ」と続け、嬉しい誤算も明かした。

 旧知の間柄で日本滞在歴が長く、日本語も堪能な米メディア関係者は開会式の取材を終えた翌日、次のようなことをいみじくも電話で話していた。「日本国内の大半が東京五輪開催反対のムードに包まれていることは無論知っていた。ただ一旦、五輪が開会すれば、開幕前の開催反対が蜃気楼のように沈静化していくことも想像できていた。この大会はアスリートたちが主役だ。開催を取り止めるか、強行するのかに関しては政府や運営側の問題であり、代表選手団とは無関係。だからたとえ自分自身が開催反対派であったとしても、シンプルに考えてアスリートと大会運営側への思いは切り離して考えなければいけない。少なくとも自国代表選手団については応援するべきだ。多くの日本人もそう思っているからこそ、このように東京五輪関連のニュースに一喜一憂する日々を過ごしているのだろう」

 あくまでも、これは海外メディアに携わる1人の関係者の見解だ。しかしながら、このまま東京五輪は代表選手アスリートたちの熱き闘いによって日本国内全体からの「手のひら返し」を受けることとなり、来月8日の閉会まで連日空前絶後の注目度を高めることになりそうだ。

  
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