IRRとは、前述したように投資利回りのことだが、厳密に定義すると、「あるプロジェクトの初期投資額と将来キャッシュフローの現在価値が等しくなる利率(割引率)」である。例えば、事業Aは年率6.6%で収益を割り引くと、事業Aの1年後のキャッシュフローは13.1万円(=14万円÷(1+6.6%))、2年後は同12.3万円(=14万円÷(1+6.6%)^2)、これを繰り返し10年後は同7.4万円(=14万円÷(1+6.6%)^10)となる。割引後の総額(これを現在価値:PVと呼ぶ)は100万円で、初期投資額100万円と同額である(図1)。つまり、前述のIRRの定義(初期投資額と将来キャッシュフローの現在価値が等しくなる利率)を踏まえると、事業AのIRRは6.6%となる。
同様に事業Bの割引率を6.6%と揃えて現在価値を出してみよう。1年後が同23.5万円(=25万円÷(1+6.6%)^1)、これを繰り返し、5年後が18.2万円(=25万円÷(1+6.6%)^5)で、現在価値は104万円である。つまり、現在価値で比べると、事業Bは事業Aより4万円大きいので投資対象として優れている。事業BのIRRを求めると、7.9%である(これはエクセルで簡単に求められる)。
したがって、IRRとは投資利回りなので、事業Bの方がAに比べて投資対象として魅力的であることがわかる。例えば、年率7%の利子で資金調達できるならば、事業AはIRRが6.6%なので実施すべきでなく、逆に事業Bは同7.9%なので借り入れて実施してもよいことになる。このように、IRRとは、利子や、他の投資案件との利回りなど、レート間での比較が用意なので、投資の意思決定に役立てることができる。