2024年4月18日(木)

Wedge REPORT

2012年11月20日

 第1に、廃炉費用の計上時期を間違えている。G会津は期首(ゼロ年目)に計上しているが、本来は廃炉年(21年目)に計上しなければならない。第2章で示したように、現在と将来の金銭価値は異なる。買取価格に換算すると0.3円/kW時ほど、G会津の試算は過大評価となるため、IRRによる利回りを加味して建設費と廃炉費を回収するための「IRR8%分」(図3、G会津が調達委で示した資料での呼称)は6.4円から6.1円にすべきだ。

 第2に、G会津は建設費と廃炉費からなる「資本費」として計2.1円/kW時を計上しているが、これは不要であることだ。建設費と廃炉費は、第1の問題で説明した「IRR8%分」に含まれている。なぜG会津が計上し、調達委でも全く議論していないのか、また、なぜこの額なのか、謎が残る。いずれにせよ、「資本費」としての2.1円/kW時は不要で、IRRに従う資本回収額として6.1円/kW時のみでよい。

 第3に、「32円/kW時」には、固定資産税と事業税が計上されておらず、前述の問題点とは反対に、過小になっていることだ。G会津は調達委で示した資料において、「32円/kW時」の計算結果とは別の箇所に「固定資産税や電力事業税などの所得以外の税では、概算で約1円/kW時程度の費用が発生します」と注記し、32円/kW時には含まなかった。調達委によって、買取価格の決定の際に加味されてもよさそうなものだが、そうはならなかったようだ。

 以上、過大・過小となる要因を考慮すると、G会津が希望価格とした32円/kW時は30円/kW時である。調達委による査定プロセスは適正だったのか、今後、どのように改善していくのか注視していく必要がある。

図3 調達委提出資料を再現すると、買取価格は32円/kW時ではなく、30円/kW時
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提出資料の問題点は、①廃炉費用の計上時期の間違い、②IRRに従う資本回収額に含むべき資本費(建設費と廃炉費)の計上による過大評価、③固定資産税等の未計上による過小

 


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