立場に変化がみえる共和党議員
このような状況下で、新型コロナワクチン接種に消極的であった有力共和党議員や、トランプ支持のテレビ番組の司会者に変化が出てきました。
例えば、24年共和党大統領候補であるロン・デサンティスフロリダ州知事がその一人です。『訪問州から読み取るバイデンの選挙戦略』で紹介しましたが、デサンティス知事は7月11日に南部テキサス州ダラスで開催された米保守系団体の保守政治活動会議(CPAC:シーパック)での24年共和党大統領候補に関する模擬投票で、トランプ氏に次いで2位でした。
デサンティス知事は、「もしワクチン接種を完了しているなら、新型コロナウイルスで重症化や死亡する可能性は事実上ゼロだ」と言い切りました。そのうえで、「(フロリダ州では)入院患者の95%以上がワクチン接種を完了していないか、全く接種していないかのどちらかだ」と強調し、「ワクチンは命を救う。死者数を減らす」と語気を強めました。
米国では18歳以上の成人でワクチンを1回接種した人の割合は69.1%で、7割に近づいています。すでにワクチン接種を完了した人は60.1%です(共に現地7月27日現在)。前述しましたが、フロリダ州のワクチン接種完了者は48.5%ですので、全国と比較すると約12ポイントも低いです。
バイデン大統領は全国のワクチン接種率を高めれば、自身のクレジット(手柄)になり、24年大統領選挙でその実績を強くアピールできます。一方、デサンティス知事にはワクチン接種率を高めて、バイデン氏再選を助ける意思はないはずです。
ただし、フロリダ州のワクチン接種率が「青の州」よりもかなり低く、新型コロナウイルス感染により重症化した患者数と死者数が増加すれば、24年大統領選挙でデサンティス知事はライバル候補から攻撃を受けることは間違いありません。同知事のワクチン接種を巡って発言に変化があったのは、選挙を見据えているからです。
これでは、日米の政治家は大同小異だと言われても仕方がありません。選挙に勝つためのワクチン確保と接種率向上なのです。
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