2022年7月7日(木)

WEDGE REPORT

2021年10月6日

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マチケナイテ・ヴィダ Macikenaite Vida

国際大学大学院国際関係学研究科講師

2006年ビリニュス大学(リトアニア)国際関係・政治学学院卒業。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科博士課程単位取得退学。15年より現職。共著に『中国対外行動の源泉』(加茂具樹編、慶應義塾大学出版会)。

台頭する中国の脅威
戦略的パートナーの日本

 リトアニア政府は、中国との関係維持を目指すと述べてはいるものの、民主主義国との関係の重要性を強調する。米国と緊密な関係を保ち、安全を保障してくれるNATOおよびEUを断固支持しているが、同時に遠く離れた地域にも目を向け始めた。

 その一つが日本だ。茂木敏充外相が今年7月にリトアニアを訪問し、リトアニアに対して電力などのインフラ投資支援を表明した。イングリダ・シモニテ首相は日本のことを、「アジアにおけるリトアニアの戦略的パートナー」と評している。民主主義への支持という協力が、間違いなくこの両国関係の体系的な土台になる。同時に経済関係を深め、主に二国間の貿易と投資を拡大することが極めて重要になる。

 リトアニアと日本はどちらも、現在のリベラルな世界秩序を守ることに強い関心があるため、二国間協力だけでなく、多国間アプローチも前に進める道筋を示す。そしてリトアニアはNATOとEUに深く根差した加盟国を自負しており、こうした組織を通して自国の立場を調整する意欲がある。

 20年前、いや10年前までは、多くの中東欧諸国にとって、中国は遠く離れたアジアの国であり、その台頭は自国の輸出を拡大し、投資を呼び込むチャンスを与えてくれた。だが現在、この構図が劇的に変わり、いまだかつてないほど近い存在になった中国が新たな課題を突き付けている。

 この状況に照らし、民主主義国の間の協調、さらには経済統合の強化が重要なカギを握るようになっている。リトアニアは自国の安全と将来を真剣に考え、中国との向き合い方を考えている。激変する国際秩序の中で、実際の距離こそ遠いが、同じ民主主義の絆でリトアニアと日本が結びつき、その輪を世界に広げていくことが重要だ。

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Wedge 2021年10月号より
人をすり減らす経営は もうやめよう
人をすり減らす経営は もうやめよう

日本企業の“保守的経営”が際立ち、先進国唯一ともいえる異常事態が続く。人材や設備への投資を怠り、価格転嫁せずに安売りを続け、従業員給与も上昇しない。また、ロスジェネ世代は明るい展望も見出せず、高齢化も進む……。「人をすり減らす」経営はもう限界だ。経営者は自身の決断が国民生活ひいては、日本経済の再生にもつながることを自覚し、一歩前に踏み出すときだ。

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