世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月11日

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 他方、カナダ人二人が人質であったことには疑問の余地がない。中国は孟晩舟のケースとの関連を否定して来たが、昨年6月、中国外交部の報道官は「(孟晩舟の米国への引渡し拒否という)オプションは法の支配の範囲内にあり、二人のカナダ人の状態の解決のための空間を開き得よう」と述べ、取引の可能性をあからさまに示唆するに至った。

汚れた中国のイメージ

 孟晩舟が中国政府差し回しのチャーター便でカナダを出発するや、中国はカナダ人二人の帰国を認めたのだから、中国の人質外交の標的とされる危険を世界に喧伝したも同然である。

「孟晩舟による(事実の)承認はこの金融詐欺の訴追における政府の申し立ての核心――孟晩舟とHuaweiの同僚はHuaweiのイランにおける活動について国際金融機関、米国政府、一般大衆を欺くための一致協力の努力に従事していた――を確認するものである」と米国司法省は述べている。しかし、この程度の自白を得るために孟晩舟の逮捕という荒業に訴える必要があったのか、対イラン制裁の実行の確保のためだという訳であるが、些か疑問が残る。

 いずれにせよ、この人質取りの一件で中国のイメージが酷く汚れたことは間違いない。中国はそのことを過小評価すべきではない。

  
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