2024年4月27日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月21日

 もう一人、首相のドベイバはどうするのか良く分からない。出馬するのであれば、大統領選挙法に従えば、既に辞任している必要があることになる。彼は選挙の法的枠組みは整わないかも知れないとの懸念を表明しているが、選挙が延期になれば、そのまま首相にとどまれるとの計算が働いているのかも知れない。

社会ののけ者ではないカダフィ一族

 リビア国民がカダフィの時代をどの程度まで安定の時代として思い起こしているかどうかは分からないが、Economist誌10月2日号の記事‘Could Libya be ruled again by a Qaddafi?’は、カダフィの次男セイムについて詳しく解説を試みている。彼の政治への復活の可能性は相当に高いと見ているのであろう。

 記事は、「生き残った息子達のうちで最も有能なセイフは政治にじわじわと復帰しつつあるのかも知れない。彼は国の内外で当面する起訴の問題を交渉で迂回して、年末に予定される大統領選挙と議会選挙を戦うことが可能になり得ると明らかに信じている。彼は勝てると考える者もある」としている。記事は、もう一人の兄弟であるサーディがトリポリの刑務所から釈放されたことも、カダフィ一族がもはや社会ののけ者ではないことを示唆していると指摘する。

 いずれにせよ、セイムはもはや獄中にはなく、権力への復帰を画策しているということだろう。目下、セイムはダークホース的存在なのであろうが、一旦、勢いが付けば、国内の諸勢力も、トルコもロシアも、勝ち馬に乗ろうと走る可能性があろう。そうなれば、リビアの情勢は一変するかも知れない。

   
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