世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年10月21日

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 リビアでは昨年11月に国連主導の下で、新たな統一的な暫定政権を設けること、そして、この暫定政権は今年12月24日に実施されるべきこととされた大統領選挙と議会選挙の準備を取り進めることが合意された。暫定政権は去る2月に成立した。相対立し争う勢力が単一の暫定政権に合意出来たこと自体、特筆すべきことであり、12月の選挙を経て最終的な解決を目指す段取りがともかくも整ったことは、リビア情勢にやっと希望を持たせるようにも思わせた。

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 しかし、12月に予定通り選挙が行われるのか? その結果として事態は安定化に向かうのか? 全く不透明である。さまざまな報道があるが、情勢は混沌としているようだ。

 そもそも、選挙を行う法的枠組みが未だ整っていない(60日以内に法的枠組みを整えるとの期限があったがそれはとうに過ぎた)、あるいは選挙法についてコンセンサスが存在しないようである。

 9月初めにトブルク所在の代表議会(House of Representatives)の議長アギーラ・サーレフは大統領選挙法を可決させた。しかし、ライバル機関と目されるトリポリ所在の高等国家評議会(High State Council)は協議にも与っていないとして承認を拒んでいる。

 国連は、選挙が行えないよりは好ましいとして、少々無理でもこの選挙法で選挙を行いたい構えのようであるが、危険が伴う。そもそもリビアのような分断された国の選挙では明確な多数派は構成されにくく、敵対する側は敗北を認めず、選ばれた大統領は弱体ということになりかねないが、選挙法にコンセンサスがなければ、危険は一層大きく、国の分断と混迷を深める危険があろう。一方、議会選挙法は代表議会において未だ審議中らしく、成案を得るに至っていない。

 大統領選挙にはサーレフは出馬するつもりなのであろう。彼が成立させた大統領選挙法との平仄を合わせるつもりであろうが、彼は議長の職を退いたとの報道もある。

 同じ東部を地盤とするとはいえ、サーレフは、「リビア国民軍(LNA)」を率い「リビア国民統一政府(GNA)」に抵抗してきたハリファ・ハフタルの排除を試みているように見える。ハフタルは出馬して勝てば良し、負ければリビア国民軍の司令官に戻る(現在は公式には司令官を退いている)だけということであろう。

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