2022年10月7日(金)

ニュースから学ぶ人口学

2021年11月8日

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 新型コロナウイルス感染症の第5波が10月になって、ようやく収まった。各地の緊急事態宣言や重点措置が解除されて、夜間の繁華街への人出も戻ってきた。ワクチン接種の拡大と感染を予防する行動が定着した結果だろう。

 ほっと一息つけたこの時期に、第6波の襲来を警戒しつつ、ポスト・コロナの時代へ向けた万全な体制を構築しなければならない。

(Auris/gettyimages)

 コロナ禍は将来の人口に多大な影響を及ぼすと考えられる。第一は出生数の減少である。日本の新型コロナウイルス感染症による昨年1年間の死亡者はこれまでに3000人以上に上るが、インフルエンザや肺炎による死亡が大幅に減少したために、2020年の総死亡数は前年より減少した。死亡数が前年より減少するのは11年ぶりのことであった。

 他方、出生数はコロナ禍で産み控えが起きたため減少した。1年間の出生数は84万人で、前年より2万人以上減少した。これは、近代化による急速な出生率増加を果たす前の1873(明治6)年の水準である。

 その影響は21年にも引きずっている。5〜7月の妊娠届け出数は急減した。妊娠・出産に対する感染症の影響について理解が進んだためか、後半には落ち着きを取り戻してきた。それでも21年の出生数は80万人を割る、と推計されている。

 それが現実となれば、17年に発表された将来推計人口(出生中位・死亡中位)が予測する33年よりも、10年以上も早く出生数の80万人割れを先取りすることになる。

コロナによる調査延期で見えない人口推計

 コロナ禍は人口予測にも影響を与えている。第2波が小康状態になった20年10月1日現在で国勢調査が行われた。1920(大正9)年に第1回の調査が行われてからちょうど100年、第21回目の調査だった。

 通常、同じ年の6月に「出生動向基本調査」が行われる。結婚や出産の意欲について測り、将来の人口動向を占うための重要な調査である。ところがコロナ禍のために調査は、今年6月へと1年延期された。また、世帯や家計の実態について毎年、行われる「国民生活基本調査」も延期となった。

 通常だと国勢調査の翌年6月から社会保障審議会人口部会が開かれ、出生動向基本調査と国民生活基本調査の結果に基づく議論を経て、国勢調査の1年半後の春頃に国立社会保障・人口問題研究所から将来推計人口が発表されるのだが、今回は1年程度遅れて、新推計の発表は2023年春ころになる見込みという(第20回社会保障審議会人口部会議事録)。

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