2024年11月22日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月15日

 勝因は他にもある。アフガニスタンからの混乱した撤退、「build back better」の看板2法案(インフラ投資法案及び子育てや教育関連を含んだ歳出法案)を巡る民主党内の内紛に足を取られてもたつき、期待された政権の能力の質を示し得ていないこと、そういう事情を主因とするバイデンの支持率の下落がマコーリフに逆風となったことは否めない。 

共和党は〝トランプ隠し〟、共和党は過激進歩派抑え込み急務

 共和党はバージニア州知事選の経験によって勝利の戦略を発見したと思うであろう。従って、来年の中間選挙はこの戦略で戦うであろう。既にかなり前から、中間選挙で共和党が両院を奪還する可能性が高いと見られている状況であるので、この戦略は恐らく成功する。しかし、2024年については、ルースが指摘するように、まずはトランプの出馬を阻止しないとこの戦略は機能しないことになる。 

 民主党にとっては、来年の中間選挙はトランプの姿の見えないトランプ主義との戦いとなる。同じ日にニュージャージー(バイデンがバージニアを上回る16ポイント差で勝った州である)でも知事選挙が行われたが、民主党の現職が辛うじて勝ったが、共和党候補に激しく追い上げられた。

 兎も角、戦うためには、バイデンは民主党内の過激な進歩派を抑え込む必要があり、その立場で早急に実績をあげる必要がある。バージニア州知事選後に可決した1兆ドルを超えるインフラ投資法案は、その一つとなるであろう。来年の中間選挙に向け、民主、共和両党とも、せめぎ合いは続くであろう。

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