2022年7月6日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月19日

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 ブルハン議長は、内戦状態を回避するためにこのクーデターを行ったもので、改めて自らが議長となる軍事評議会を設置し23年7月の選挙までスーダンを統治するとの方針だと伝えられる。これに対し国連のスーダン担当特使が現地入りして、軍指導部と民間民主派指導者の対話を働きかけており、多少の進展も見られていると報じられている。

容易でない民主化路線への復帰

 事態は流動的であるが、背景には、国際刑事裁判所へのバシール元大統領の引渡しなどにより過去の問題の責任追及が現在の幹部にも及ぶ可能性や、軍が長年握って来た種々の経済利権構造を解体しようとする民主派の動きに対し、権力を民主派に引き渡す前にこのプロセスを軍指導者の立場や利益を守るため軍のコントロール下での「民主化」に変えようとする軍指導者の意図が見て取れる。従って、従来の民主化路線に復帰することは容易でないようにも見える。

 軍指導者としては、民主化移行への看板は掲げ続けることにより、経済制裁などの回避のための条件闘争を米国・国連などと行っていくつもりであろう。クーデターに抗議する動きは国民全般、各政治勢力に共有されているようであり、安保理のステートメントに中国やロシアも反対せず、米国、EU、世銀の援助停止や制裁再開の警告、更には、エジプト、サウジ、アラブ首長国連邦に対し軍事指導者への支援を控えるよう圧力をかけるなど、国連、アフリカ連合(AU)を含めた国際社会の一致した対応により、軍指導者を追い詰め妥協させる可能性もまだあるように見える。

  
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