世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2021年11月19日

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 10月25日早朝、スーダンで軍によるクーデターが起こった。民主的な暫定政権は解散させられ、ハムドゥーク首相をはじめとする指導者らは軟禁状態に置かれた。

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 スーダンにおいては、2019年4月の民衆蜂起を契機に、軍指導部が30年の独裁政権を牛耳ったバシールを排除し、ブルハン将軍を議長とする軍部と文民派で構成される主権評議会の下に、文民の首相による暫定政権により統治を行なうが、最初の21カ月経過後(2021年11月)には、同評議会議長も文民派に譲り、18カ月の23年に選挙を行うとの権力分立による民主化の道筋が合意されていた。このクーデターによりそのような合意がすべて反故にされる可能性がある。

 クーデターは、スーダンの民主化をアフリカ外交の柱の一つに位置付けていたバイデン政権にとって見逃しがたい事態と言える。バイデン大統領の「アフリカの角」担当特使であるフェルトマンはハルツームを訪問し、文民トップのハムドゥーク首相、軍トップで主権評議会議長のブルハン将軍、暫定軍事評議会副議長のヘメティ将軍と会談した。

 これは、不安定な暫定政府を支え、民主化への道を救出しようとする努力の一環であった。クーデターはフェルトマンがスーダンから出国してわずか1時間後に起こったものであり、米国の面目を大いに潰した。米国はスーダンへの7億ドルの支援金を停止した。

 自宅軟禁となったハムドゥーク首相は欧米外交官とも面談し無事であることが確認された。また、国連安保理は、10月28日にプレスステートメントを発表し、暫定政権の文民メンバーの拘束について深刻な懸念を表明した。10月30日の土曜日には、各地で何万もの民衆が過去最大規模の抗議活動を行い、治安維持部隊の発砲により死者も出たとされる。

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