WEDGE REPORT

2013年1月21日

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勝股秀通 (かつまた・ひでみち)

日本大学総合科学研究所教授

1983年に読売新聞社入社。93年から防衛省・自衛隊を取材。民間人で初めて防衛大学校総合安全保障研究科(修士課程)を修了。解説部長兼編集委員等を経て現職。著書は『自衛隊、動く』(ウェッジ)等。

 しかも中国は、この数年、海上警備(海防)態勢の強化に力を入れ、人民解放軍が枢要なポストを占める「国家辺海防委員会」を組織し、「平時の権益擁護活動と戦時の戦闘行動双方において、人民解放軍と海上法執行機関(海監や漁政など)が合同で任務にあたることが中国において想定されている」(防衛研究所『中国安全保障レポート2012』)といった状況だ。

 12年6月には、尖閣諸島と向かい合う上海水警区で、中国陸海軍と海監、漁政、公安当局など各機関が参加する合同パトロール演習が行われ、離島の警戒活動や敵艦艇が行う警備活動への妨害、離島の陸上防衛、対魚雷戦などを繰り広げている。まさに、尖閣諸島における海保の活動を念頭に置いた訓練にほかならない。

備えを怠れば日本は尖閣を失う

 領海にとどまらず領空まで侵犯し始めた中国。その後も尖閣領空への接近をやめず、中国は自衛隊が戦闘機で緊急発進することに強く抗議している。だが、それは中国得意の世論戦であり心理戦だ。領空侵犯への対応は、軍事力が担う最も基本的な任務であり、世界の常識だ。政府は淡々と対応すればいい。

 今後、尖閣を巡って中国は、(1)海自P3C哨戒機など自衛隊機による尖閣監視行動への妨害、(2)多数の漁船に紛れ込んだ海上民兵の上陸、(3)特殊部隊による隔離地域からのパラシュート降下─など、海と空から様々な行動を仕掛けてくるだろう。これらに即応するため、政府は自衛隊と海上保安庁、警察の機動隊、SATなど特殊部隊を総動員した離島防衛訓練を始めなければならない。

 訓練では、海保が単独で対処する場面から始め、機動隊などの警察力を加え、さらに、自衛隊が出動する事態まで継ぎ目のない警備・防衛訓練を想定する必要がある。いかなる状況でも、日本は国際法など「法」を順守する国家であることを内外に示すため、政府は訓練を各国の駐日大使館の幹部らにも公開し、領土を守る日本の姿勢に対し、広く理解を得ることも大切だ。

 しかし、日本がこうした備えを怠れば、中国はさらなる冒険主義へと突き進み、日本は確実に尖閣諸島という領土を失うことになる。

◆WEDGE2013年2月号より

 

 

 

 

 

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