2012年11月19日付米National Interest誌ウェブ版で、Doug Bandow 米ケイトー研究所上席研究員は、日本はアメリカに頼れるかぎり自分の防衛努力をしないだろうし、あるいは、米国の後ろ盾を頼りに強硬に出て、米国を戦争に捲きこむかもしれないから、尖閣問題などについて、米国は日本を援けるべきではない、と述べています。
すなわち、日本は世界第三位の経済大国であるのに、アメリカが守ってくれる限り、自分で防衛しようとしない。しかし、現在、オバマ政権は日本を援けようとしている。現に、日本が、離島奪回演習は中国に対して刺激的だと言って止めた時、オバマ政権はそれは中国に対して弱みを見せるものだと怒った。
日本はGDPの1%を使うだけで、強力な軍事力を持っている。日本が脅威に対抗する気があるのなら、中国が対決を躊躇するような軍事力を自前で持てる。
日本の周辺諸国には戦争の過去の記憶があるが、それは戦後70年経った現在米国にとって問題でない。米国が守ってくれると思うから、周辺諸国はそんな過去の歴史を持ち出しているだけだ。もし自前で守らなければならないとなったら、ジャパン・バッシングを考え直すだろう。
もちろんアジアは米国にとって重要である。しかし、中国がアジアで覇権国となるには、まだ何年も何十年もかかるだろう。その間周辺諸国は、領土紛争などについては、自分で守るべきである。
米国が防衛をコミットするのは危険である。第一次大戦勃発時においては、オーストリアとセルビアは、それぞれドイツとロシアの後押しに期待して、後に引こうとはしなかった。日本がアメリカを頼りに中国に対決姿勢を取る恐れがある。何十年も日本を守ってやっていたのに、日本はそれ以上を期待している。それも、米国が破産しそうなときにである。
日本民主党は、当初、アメリカへの防衛依存から独立しようとした。それなら、尖閣の防衛は自分でやるべきである、と述べています。
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バンドウという人は、ケイトー研究所に長く居た経歴があります。保守的であると同時に、対外負担の増大を忌避する孤立主義的なリバタリアンの思想を反映している論説です。