2024年7月20日(土)

2021年回顧と2022年展望

2021年12月30日

 イランの核武装は国家存亡の危機と恐れるイスラエルは軍事攻撃で核開発をストップさせようとしているが、バイデン米政権は新型の空中給油機のイスラエル供与を遅らせるなどイスラエルの暴走に神経を尖らしている。だが、イスラエル単独では、イラン攻撃は困難だ。「攻撃準備に2年間は必要だろう」(米高官)と見られる中、その焦りは高まる一方だ。

サウジとイランの和解の可能性

 このイランをめぐってはトランプ米前政権下、湾岸諸国は米、イスラエルとともにイラン包囲網を構築する一方、トランプ氏肝いりの「アブラハム合意」により、アラブ首長国連邦(UAE)、バーレーン、モロッコ、スーダンがイスラエルと国交回復に合意、従来の「アラブ対イスラエル」という伝統的な中東地図を塗り替えた。

 湾岸諸国域内でもサウジアラビアが主導した〝カタールいじめ〟に終止符が打たれ、サウジアラビアが断交していたカタールとの国交正常化に踏み切った。砂漠の風紋のように離合集散を繰り返す中東政治のドラマだ。この中心的役割を果たしたのはUAEの実力者、ムハンマド・アブダビ皇太子だ。

 12月にはイスラエルのベネット首相をイスラエルの指導者として初めてUAEへ迎えた。一方でこの訪問に先立ってイランに特使を送って配慮を示し、関係改善の意欲を見せつけた。バイデン政権が中東への関与を弱める中、米国に引きずられていつまでもイランと敵対ばかりしてはいられない、という現実的な感情を反映した動きだろう。

 来年の焦点はサウジがイランとの復交に踏み切るかどうかだ。サウジはこの4月からイラクのバグダッドを舞台にイラン側との関係改善に向けた協議を続けてきた。報道によると、サウジ側が12月、ジッダに本部を置く「イスラム協力機構」へのイラン代表外交官3人に査証を発給することで合意したという。関係改善の兆候と言えるが、イランとの復交がなるかどうかはサウジを牛耳るムハンマド・ビン・サルマン皇太子の決断にかかっている。

コンドーム禁止でイランが〝富国強兵〟?

 そのイランだが、コンドームが薬局などで入手できないほどの品不足になっており、その背景には人口増による大国を目指す政府の政策が働いているとの見方が広がっている。女性の人権活動家らは望まない妊娠が増えると懸念しているという。

 中東専門誌「ミドルイースト・アイ」などによると、最高指導者ハメネイ師はここ数年、産児制限に強く反対を表明してきたが、最近避妊具の配布を制限するよう指示。イランの人口を1億5000万人まで増大させる必要性を強調した。イランの人口は現在、約8500万人だが、出生率の低下が懸念されており、ハメネイ師の発言にはこの傾向に歯止めをかけ、中東のさらなる大国への野望が込められているようだ。

 こうしたハメネイ師の見解を受け、イラン国会は10月、「若年人口と家庭の保護」という新法を成立、このほど施行された。同法は避妊と中絶の規制を求めており、コンドームの全土での無料配布を禁じている。元々、経済制裁下にある中で、外国製のコンドームが入らなくなり、ほとんど店頭から消えた。国内製のコンドームはあるようだが、粗悪で評判が悪い。


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