Wedge SPECIAL REPORT

2022年2月3日

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堀川晃菜 ( ほりかわ・あきな)

サイエンスライター・科学コミュニケーター

東京工業大学大学院生命理工学研究科修了。農薬・種苗メーカーでの勤務を経て、日本科学未来館の科学コミュニケーター。その後、WEBメディアの編集・記者を務め、現在はフリーランス。著書に『バイオ技術者・研究者になるには』(ぺりかん社)。

「Wedge」2022年2月号に掲載され、好評を博した特集「〚人類×テックの未来〛テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ」記事の内容を一部、限定公開いたします。全文は、末尾のリンク先(Wedge Online Premium)にてご購入ください。
NASA/GETTYIMAGES
 人間の欲望や行動が抑圧されたコロナ禍の間、テクノロジーが私たちの生活を変えた。人類は今後、テクノロジーをどう活用し、繁栄していくべきか。宇宙飛行士の毛利氏に聞いた。
聞き手・堀川晃菜(科学コミュニケーター) 
構成・編集部(大城慶吾、鈴木賢太郎)

堀川晃菜(以下、──)コロナ禍で人類はウイルスの存在を日々、強く意識するようになった。コロナ禍を経てどのような心境の変化があったか。

毛利 その前に私が宇宙に行ったときのことからお話したい。最初に宇宙空間に到達し、「無重力」かつ「真空」という死の世界がすぐ隣り合わせにある中で、認識したことは二つある。一つは、体全体がふわっと浮いて、一つひとつの細胞が丸くなろうとしている感覚になり、「人間の体は細胞で成り立っている」ことを改めて実感したこと。もう一つは、「地球が確かにそこにある。しかも、大きくて、私たちを全て包み込みながら宇宙に浮かんでいる」ということだ。

 今回のコロナ禍では、地球に住むほとんどすべての人間が「新型コロナウイルス」の存在を意識することになった。これは約100年前、スペイン風邪が流行した当時とは状況が異なる。科学技術が進歩し、ウイルスの存在がはっきりと分かるようになり、人間の生命が簡単に奪われることを実感したからだ。また、ウイルスは各細胞の中に入って自分を増やそうとする。異論があるかもしれないが、私は、ウイルスも「生命」の一つだと考えている。「生命のつながり」の中で生きているという意識が全世界に広がったことは人類の未来へ向けて大きな転機になると言っていい。

毛利 衛 宇宙飛行士。科学技術振興機構参与。
北海道大学助教授を経て、1985年に日本人初の宇宙飛行士候補に選抜。92年と2000年、スペースシャトル・エンデバー号で、宇宙実験や地球観測を行う。00年に日本科学未来館初代館長に就任。21年より同名誉館長。 (SPACE FRONTIERS/GETTYIMAGES)

──今回の経験は、人類にとって、将来どのような影響を与えるか。

毛利 新型コロナの次に流行するのはウイルスよりもっと大きな微生物、細菌による感染症かもしれない。ウイルスに対し人間はワクチンで免疫を強化するが、抗生物質が効かない細菌が蔓延したとき、コロナ禍以上のことが起こり得る。新型コロナワクチンの開発には約1年の時間を要したが、抗生物質の開発には、場合によっては10年単位の時間がかかるかもしれない。

 一方、ウイルスや細菌は簡単に「突然変異」を起こす。従来通りの科学技術で対抗しようとしても、実はもう何億年も生きている彼らに負けるだろう。人類は、「勝とう、絶滅させよう」とするのではなく、犠牲を最小限にしながら、彼らとうまく棲み分けし、共存していくのか、という発想に転換しなければいけない。ゲノム解析……

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Wedge 2022年2月号より
テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ
テクノロジーの新潮流 変革のチャンスをつかめ

メタバース、自律型ロボット─。世界では次々と新しいテクノロジーが誕生している。日本でも既存技術を有効活用し、GAFAなどに対抗すべく、世界で主導権を握ろうとする動きもある。意外に思えるかもしれないが、かつて日本で隆盛したSF小説や漫画にヒントが隠れていたりもする。テクノロジーの新潮流が見えてきた中で、人類はこの変革のチャンスをどのように生かしていくべきか考える。

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