2022年10月4日(火)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年2月17日

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 イタリアのマッタレッラ大統領の任期満了に伴う後継大統領の選出は難航を極めていた。ドラギ首相が大統領に転身するか否かが注目されていた。ドラギは大統領としての資質は十分だが、有能な首相であり、イタリアの極めて微妙で危うい政治的安定を辛うじてつなぎとめているキーマンである彼が首相の座を去る事への懸念も大きかった。イタリアの大統領選挙は国会議員と州代表の投票により行われるが、1月29日、8回目の投票にしてようやく決着がつき、80歳のマッタレッラが続投することとなった。

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 こういう結果になろうとは誰も予想しなかったが、イタリアにとっても、欧州にとっても歓迎すべきことに違いない。そうでなければ、連立与党を不安定化させ、前倒し選挙の引き金となり、改革推進に必要な政治的平静と継続性が失われる恐れが強い情勢であった。

 連立与党(「イタリアの同胞」を除く政党による呉越同舟の連立)は大統領に大多数が一致して推せる人物を見出し得なかった。かといってドラギを大統領に選出する場合、後継の内閣――ぎくしゃくする連立をまとめて改革を推進するという困難な課題を背負う――を誰に委ね得るかの見通しも立たず、政治危機となって前倒し選挙となることは(憲法が改正され、議席が大幅に削減されることもあって)いずれの政党もこれを嫌い、1月29日に至り、策に窮した諸政党はマッタレッラに続投を要請に赴いたようである。

 ドラギも同様に続投を要請したと報じられている。29日、上下両院議員と各州代表の1009人による8回目の投票の結果、マッタレッラが759票を得て選出された。「求められた務めであり他の考慮に当然のこととして優先する務めを回避することはしない」とマッタレッラは述べた。

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