2024年12月19日(木)

World Energy Watch

2022年2月28日

 SWIFTからのロシア金融機関の排除に、化石燃料に関する例外が設けられるなどしなければ、代替の代金決済手段を見つけることは難しいことから、ロシアは化石燃料の輸出を削減あるいは停止する可能性がある。契約を履行し出荷しても代金を受け取ることが困難になるとすれば、不可抗力条項に相当し出荷は停止される可能性が高くなる。

 2月24日のインタビューでは、ハーベック副首相は「戦略的天然ガス貯蔵を義務付ける法案を作成中であり、貯蔵設備の保有者は夏の間に設備の貯蔵をフルにすることを要求される」と説明し、ロシアへの依存度が高い石炭についても同様のことを検討する可能性にも触れた。

 ドイツは、2038年までの脱石炭・褐炭を決め、緑の党を含む3党連立政権は、可能であれば30年までに早めるとしているが、当面は供給不安があり、石炭の貯炭増を開始する必要があるということだ。これだけ化石燃料供給に問題がある中で今年末までには脱原発も行うことは決定済みだ。

エネルギーの約3割をロシアに依存するドイツ

 ドイツのエネルギー供給におけるロシア依存度は、欧州平均よりも高くなっている(図)。国産エネルギーは、原子力、再エネ、褐炭が主体だ。ロシアへの依存度は石油消費の3分の1強、天然ガスの半分強(ドイツ政府は16年から天然ガスの国別シェアの発表を取り止めたが、ハーベック副首相はインタビューの中でロシアからの輸入比率を55%と明らかにしている)、石炭の半分弱だ。全体ではエネルギーの29%をロシアに依存している。

 石油は輸送用が主体。天然ガスは産業、家庭用熱供給、発電用に使用され、石炭は発電に使用されている。ロシアからの供給が停止あるいは減少することになれば、仮にハーベック副首相が述べたように供給に問題はないとしても、エネルギー価格、電気料金の大きな上昇は避けられない。


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