2024年11月21日(木)

日本の漁業は崖っぷち

2013年2月22日

日本の水産エコラベルの現状
消費者の潜在意識は高い

(図2)消費者のエコラベルの認知度と購入にかかわる意識  拡大画像表示

 消費者のエコラベルの認知度と購入にかかわる意識について2011年の水産白書に次のような数字が出ています(図2)。エコラベルを知っているが25%で、その内13%が意味を知っているという結果でした。前述の通り、同じ2011年に調査したドイツ(MSCマーク)では、52%が知っており内 22%が内容も理解しているという結果でした。現時点では、認知度が高いドイツに比べて低いですが、日本の場合は、多少価格が高くてもエコラベルのマークがついた水産物を購入するが16%、価格や鮮度が同じであればエコラベルがついた水産物を選択するが70%と、消費者のエコラベル商品に関する潜在意識が高いことが伺われます。

 資源管理がしっかりした魚種は、資源が増えるので価格は安定してくるはずです。資源管理をした結果、消費者は安心してより多くの魚を購入してくれるようになるのです。

水産エコラベルの効果とメリット

 日本で漁獲される水産物に、水産エコラベルが普及することによる最大の効果とメリットは、資源が回復し持続的になっていくということです。資源とその管理状態が評価・指導されていくことで、各魚種の客観的な実態や問題点が分かってきます。

 一方、水産エコラベルの普及で、消費者がラベルの付いた商品を選ぶようになると、漁業者や水産加工業者は、経済的な要因が絡むことにより、自ら積極的に資源管理を行うようになります。資源が持続的になり、小型の魚は主体的に乱獲されなくなり、大きく育った美味しい水産物が安定供給されていくようになるのです。そして、水揚げ地での資源が安定することで、収入が安定し、まずは水産物に関連する様々な雇用が生まれ、さらに町全体が発展していく大きな潜在力を秘めているのです。

 日本のそれぞれの水産物が、水産エコラベルの取得を意識して漁獲されるようになれば、自制するようになるために、乱獲は必然的に減少します。ただ単に魚をたくさん獲らせて欲しいという要望も減少し、資源の回復と日本の水産業の復活に大いに貢献することになることでしょう。


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