2022年12月9日(金)

バイデンのアメリカ

2022年3月9日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 プーチン氏の精神状況の変化については、去る2月10日、マクロン仏大統領がモスクワを訪問、プーチン氏と直接5時間近くも会談した際にも、仏側同席者の間で話題に上ったといわれ、同行筋はロイター通信に対し、「3年前とくらべ、今のプーチンの変調ぶりに驚いた」との印象を伝えている。

〝明確な〟情報はいまだなし

 CNN報道によると、こうした点を踏まえ、CIAなどの米側情報機関の間ではここ数日来、「プーチンの精神状況」問題が最重要テーマとして浮上。とくに大統領個人の「メンタルな変化」が、日を追うごとにウクライナに対する軍事攻勢をエスカレートさせてきているロシア側の戦略決定にどう関わっているかについて、情報分析作業が活発に進められているといわれる。

 しかし、各情報機関は米ソ冷戦時代を通じ、国家保安委員会(KGB)工作員として活躍した当時から大統領に上り詰めるまでのプーチン氏にかかわるさまざまな重要情報は収集してきたものの、クレムリン入りして以来の日々の政策決定プロセスについては、ガードが固められているため、ほとんど〝収穫〟と呼べるほどの情報は得られていないのが現状だ。

 アブリル・ヘインズ米情報長官も、この点について、「われわれはこれまでのところ、プーチンの現在の〝心のありよう〟に関し、優れた情報は得られていない」と語っている。

 その一方で、各情報機関にはここ数日の間に、多方面に張り巡らした〝ソース〟からの情報が流れ込んできているという。いずれも信ぴょう性を最終評価する以前の「生情報」だが、そのうちのひとつは「プーチンの行状が過去数日の間に『きわめて憂慮すべき、予測不能状態(highly concerning and unpredictable)』になった」と伝えてきた。

 この「生情報」はさらに①プーチンは西側諸国による対露制裁が必要以上に厳しく、予期したより早く打ち出されたことに常軌を逸する怒りをあらわにした、②戦況に関する正確な情報は、これまで政権とはきわめて近い距離にいた政府関係者にさえ伝えられておらず、クレムリンのごく少数の人物に限定されている――などの点にも触れているという。

 ただ、この「生情報」を入手した連邦捜査局(FBI)は、情報提供者がクレムリンの回し者かもしれず、逆に米政府による対露制裁の政策決定をかく乱する意図で流された可能性も認識している、ともCNNは伝えている。

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