2022年10月7日(金)

プーチンのロシア

2022年3月7日

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佐々木正明 (ささき・まさあき)

ジャーナリスト、大和大学社会学部教授

1971年岩手県生まれ。大阪外国語大学(現・大阪大学外国語学部)卒業後、産経新聞社に入社、大阪社会部、モスクワ支局長、リオデジャネイロ支局長、運動部次長、社会部次長を歴任。特派員として五輪・パラリンピックやサッカーW杯を取材した。2021年春から現職。著書に『恐怖の環境テロリスト』(新潮新書)、『シー・シェパードの正体』(扶桑社新書)。

 ウクライナに侵攻したロシア軍が、北部チェルノブイリ原子力発電所につづき、南東部の主要施設、ザポリージャ原発を攻撃し、制圧した。ザポリージャ原発は国内の電力の約4分の1を供給しており、抵抗を続けるウクライナ国内の電力網を麻痺させ、戦局を優位に進めようとする目論みがあるとみられる。

ウクライナは原子力発電所内に高レベルの放射性物質を確保しており、ロシアは核武装を懸念している(Stock Depot/gettyimages)

 ロシア軍がウクライナ国内の原子力発電施設を次々に狙う理由は何か。プーチン大統領らの過去の発言から、もう一つの狙いは、ウクライナの核武装化を食い止めようとする狙いが浮かび上がってきた。ロシア軍はウクライナ全土の原発を標的にしている可能性がある。

原発ターゲットが真実味を帯びる

 ザポリージャ原子力発電所は欧州最大級の原発で、出力100万キロワットの原子炉が6基ある。3月4日未明に攻撃があり、ウクライナのクレバ外相は「ロシア軍があらゆる方向から攻撃している。すでに火災が起きている。もし爆発したらチェルノブイリの10倍の影響が及ぶ。ロシア側は直ちに攻撃をやめるべきだ」と訴えた。

 一方、ロシア国防省は4日の発表で、ザポリージャ原発の火災について、関与を否定して、ウクライナの「破壊工作集団」が放火したと否定した。

 ロシア軍と自国軍との圧倒的な戦力の差があるゼレンスキー政権にとって、ザポリージャ原発がロシア側に奪われたことは大きな打撃だ。戦時下でもまだ生きている電力インフラに大きな影響が出る可能性があるからだ。

 ウクライナ全体の総発電量のうち、原子力は5割を占めている。さらに、ウクライナ内務省高官は2日、南部ムィコラーイフ州にある南ウクライナ原発にロシア軍部隊が向かっている情報があるとSNSに投降した。南ウクライナ原発には3基あり、発電能力ではザポリージャ原発に続き、2番目に大きい。こうなると、原発が一つのターゲットになっている仮説が真実味を帯びてくる。

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