2024年12月12日(木)

WEDGE REPORT

2022年4月18日

 ゼレンスキー大統領は「私たちがロシアに立ち向かうことができるよう韓国に助けてほしい」「ロシアのミサイルを防ぐことができる多くの軍事装備が韓国にはある。そのような武器を支援されれば、国民を生かすことができるのみならず、ウクライナが生存する機会になる」と韓国からの軍事支援を要請。「韓国は1950年代に戦争を経験した。多くに民間人が命を失ったが耐え抜いた。そのとき国際社会が多くの支援を与えなかったか? 今度は韓国と国際社会が私たちを助けてほしい」と訴えて15分におよぶ演説を終えた。

 朝鮮戦争で米軍を主力とする国連軍によって救われた韓国への哀願は、演説を視聴した国会議員の心を動かし、鳴り止まぬ万雷の拍手と韓国人らしい感情を込めた支持の言葉が湧きあがったかといえば、そうではなかった。

 オンライン演説と視聴する国会議員の様子を取材した韓国マスコミによれば、「一部の議員は椅子の背もたれにもたれかかって演説を聞いていた。俯いて携帯電話を触る議員、居眠りしていたような議員もいた」(4月13日付朝鮮日報)とのことで、「ゼレンスキー大統領が演説を終えるや映像はすぐに消え、議員たちは椅子に座ったまま拍手した」(同日付韓国日報)と、非常に冷淡な反応を示したという。

戦争より安価なロシア産ズワイガニに沸く韓国

 韓国の国会議員がこのような反応を示した背景には、伏線がある。ゼレンスキー大統領は日本や米国などと同じく韓国でも国会での演説を提案したが、韓国側は「現実的な困難を受けて拒絶した」(4月13日付韓国日報)と指摘されている。

 オンライン演説を主幹することになった国会外交統一委員会の李光在委員長は、マスコミの追及に対して、「参加議員が少なかったのは、本会議よりも一つレベルが下がる委員会が主幹したからであり、参加しなかった議員は議員会館の個室で視聴した。国会議事堂はZOOMを利用できる環境ではないため国会図書館で開催した」旨を〝説明〟した。韓国マスコミはIT先進国の韓国でZOOMが使えない場所はないと鼻で笑い、国会議事堂と国会図書館が歩いて3分ほどの場所にあるにもかからず多くの議員が参加しなかったことをについて「3分間の誠意もない」と皮肉な論調を立てた。

 話はやや横道に逸れるが、ウクライナ情勢を受けた韓国では、対露制裁により西側諸国がロシア産水産物の輸入を禁止したことと、上海など中国の都市がオミクロン株で封鎖されたことにより、ロシア産海産物が韓国に流入し、特にロシア産ズワイガニの価格がこれまでの半額ほどに急落したため、各地で「ズワイガニ・パーティー」が開かれたことがニュースになった。

 そんな韓国事情を知るロシア極東連邦大学のアルチョム・ルキン教授は自身のツイッターで、「ゼレンスキー大統領は、韓国も過去に国際社会の軍事支援で生き残ることができたことを強調して支援を要請したが、韓国の政治家たちには響かなかった」「日本を除くアジアがウクライナに関心がない証拠」と韓国を突き放した上で、「普通の韓国人には美味しいシーフードの方が東欧で起きている戦争よりもはるかに重要だ」と本質を突くツイートを投稿している。


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