2022年9月26日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年4月1日

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 3月11日付の朝鮮日報の社説は、保守派の野党候補である尹錫悦の勝利は国民が政治の変化を求めたことを示したものであると述べている。

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 この社説は、「尹錫悦の勝利の大きな理由は、多くの国民が大失敗の文在寅政権の退出を欲したことだ」、「国民は尹錫悦が文在寅政権の間違いを直してくれることを求めている」と文在寅政権を厳しく批判し、尹錫悦への期待を述べる。確かに有権者の政権交代への強い願望は世論調査で一貫していた。

 しかし同時に、稀に見る僅差の尹錫悦勝利は、国民が文字通り分断されていることを示している。この僅差はやや不可解だが、選挙1週間前の電撃的な候補一本化が却って与党側の団結を強めたとの見方もある。

 いずれにせよ、僅差の勝利は国民統合の重要性とその難しさを示す。特に向こう2年は、革新「共に民主党」が300議席の国会で180議席という圧倒的過半数を握っている。尹錫悦新大統領は難しい政治運営を強いられるだろう。

 尹錫悦は、3月13日に政権移行委員会を立ち上げ(安哲秀を委員長に任命)、2カ月かけて準備を進め、5月10日に尹政権が正式に発足する。早速、新政権の人事を決めなければならない。

 第一は、特に重要な外交・安全保障閣僚、経済閣僚を誰にするかである。未だ具体的な名前は見えないが、対米、対日、対中、経済に効果的に対処できる重量級の人材を見つけるのは容易でない。

 第二は、最後の段階で立候補を撤回し、尹錫悦への一本化に協力した安哲秀の処遇である。政権移行委員会の委員長に任命されたことで、首相になるとの見方もある。が、統合する党内が今後ガタガタしないようにきちっとした体制を築く必要がある。大統領、安哲秀、外交・安保と経済閣僚が中心となる安定感のある政権が必要だ。

 第三は、公約の内、必要なもの、実現可能なものは早期に実現する必要があろう。例えば大統領府の光化門合同庁舎への移転や女性家庭部の廃止ないし改組などがある。なお、朝鮮日報の社説はばら撒き公約の撤回を求めているが、かかる主張には結構幅広い支持があるのではないか。

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