2022年10月8日(土)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2022年3月28日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 写真は日本の排他的経済水域(EEZ)内で操業中のロシアの漁船です。遠くに見えるのは、本州・太平洋側の日本の沿岸で、北海道ではありません。

日本のEEZ内で操業しているロシア漁船(筆者提供)
 

 なぜ操業できるのか? 北方領土で大型の水産加工場の建設が、すでに進んでいることなどをご存知でしょうか? 2014年のロシアによるクリミア併合以降、水産業の改革がロシアで一気に進んでいます。その結果として、日本のEEZ内で大型の最新のロシア漁船を見ることになるのです。翻ってわが国はどうするべきか考えてみたいと思います。

ロシアのクリミア併合で世界の水産物に何が起きたか

 ロシアは14年にクリミア半島を併合し、国際的な批判を浴びました。同年、ロシアは対露制裁を実施した米国、欧州連合(EU)、カナダ、豪州からの水産物輸入を禁止・制限する報復措置を発動しました。

 今回(22年)のウクライナ侵略で米国が禁止したのは水産物の輸入ですが、ロシアはすでにフェロー諸島(デンマーク自治領)など一部例外があるものの、14年の時点ですでに欧米などからの輸入を止めています。

 14年当時、ロシアの輸入禁止で最も影響を受けると考えられていたのが、ノルウェーの水産物でした。ノルウェーは世界第2位の水産物輸出国で、隣国ロシアは最大の輸出先でした。

 13年の禁輸前のロシア向けの輸出は約30万トン。金額は約850億円(ノルウェークローネ=13円)。数量で13%、金額で11%を占める断トツ1位の輸出先でした。

 禁輸に対しノルウェー政府は、一早く支援策を打ち出しました。具体的には販促資金の増額、関連規制の緩和による輸出促進。主要輸出国の一つでもあったウクライナには、輸出保険適用基準の緩和などを次々と実施して行きました。

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