2022年10月8日(土)

WEDGE REPORT

2022年4月18日

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 ウクライナのゼレンスキー大統領は3月1日の欧州連合(EU)を皮切りに「演説闘争」を開始し、国際社会を味方につけてロシアに世論戦を挑んでいる。

ゼレンスキー大統領による韓国での演説は、空席もあるなど、薄い反応となった(代表撮影/ロイター/アフロ)

 英国議会(3月8日)では、第二次世界大戦初期のチャーチル首相(当時)の演説「われわれは海岸で戦うし、われわれは水際で戦うし、われわれは平原と街頭で戦うし、われわれは丘陵で戦う」を引用して、ジョンソン首相と議員からスタンディングオベーションを送られた。

 米国連邦議会(3月16日)では、1941年の真珠湾攻撃と2011年の9.11同時多発テロを思い出すように促し、公民権運動指導者キング牧師の演説「私には夢がある」を引用して、ウクライナ上空の飛行禁止区域設定や米国による軍事支援、対露制裁の強化を訴え、数時間後にはバイデン米国大統領から8億ドル(約950億円)の武器追加供与を勝ち取った。

 そして、アジアに向ける最初の演説となった日本(3月23日)では、両国が飛行機で15時間もかかる距離にある事実を示しながら、共通の惨事であるチェルノブイリ原発事故と東京電力福島第一原子力発電所事故に言及して、岸田文雄首相と約500人の国会議員に関心と支援を促した。

 ゼレンスキー大統領のビデオまたはオンライでの演説闘争は現在まで14の国と機関におよぶ。政府首脳と多くの国会議員が参加する中で行われた演説は、各国の民族的矜持を刺激し、世論に大きな影響を与え、結果として対露制裁の強化と包囲網の形成に寄与している。

 しかし、そのような中で唯一、ゼレンスキー大統領の演説に興味を示さず、冷淡な対応を示した国がある。それはお隣りの韓国だ。

韓国国会議員に響かなかった演説

 4月11日午後5時から行われたゼレンスキー大統領の韓国向けの演説は、国会議事堂に隣接する国会図書館地下の講堂で行われた。講堂のステージには中央に置かれた演台と「ウクライナ大統領 国会映像演説」と書かれたプレートが大きく陣取り、演説を映し出す60インチほどのテレビモニターはステージ脇にそれぞれ1台ずつと、どちらが主役で脇役か分からない状態で置かれていた。

 そして、時間になって集まってきたのは、300人にのぼる国会議員のわずか6分の1の50人ほど。そこには朴炳錫国会議長はもちろんのこと、文在寅大統領や5月10日に大統領に就任する尹錫悦氏をはじめとする韓国政府高官の姿はない。

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