2022年7月2日(土)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年5月9日

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 4月25日の記者会見で、このオースティン長官の発言について問われたホワイトハウスのサキ報道官は、同長官が語ったのはロシアがウクライナを分解し、呑み込み、主権と領土を奪取することを防ぐという米国の目的であると応答している。

 しかも、オースティン長官は、上記の通り、ロシアの弱体化についても明言している。ロシアに不法な侵略の代償を支払わせることは西側の一致した目標であるが、その代償として、軍事侵攻を行うロシアの「能力」を制限することは、過大で危険ではないかと思われる。

今はまだ武器支援に徹する時

 短期的には、真の意味での和平、真の意味での紛争終結はまずあり得ず、成功と言えるのは、ロシアが占拠する領域を2月24日以前の状態に押し戻した上での敵対行動の収束であり、西側は制裁と外交によって完全なロシア軍の撤退の達成を長期的に追及することとなろうという有力な意見がある(Richard Haass:What Does the West Want in Ukraine?(Foreign Affairs, April 22, 2022))。それが現実的な見方であり、ロシアの損害は既に甚大とは言え、ウクライナ戦争を通じてロシアの「能力」を制限することを目標とし得る余地はないように思われる。

 ウクライナ東部の戦闘の本格化はこれからである。経済制裁は未だ実効をあげているとは言い得ない状況かと思われる。今はレトリックに慎重を期し、有効な武器支援に徹すべき段階だと思われる。

  
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