2024年11月25日(月)

2024年米大統領選挙への道

2022年5月11日

「トランプ効果」の有無

 最終結果はバンス氏32%、マンデル氏24%、州議会議員のマット・ドーラン氏23%であった。ではこの投票結果をどう読み解くことができるのか。

 米ニューヨーク・タイムズ紙の保守的な政治コメンテーターデイビッド・ブルックス氏は、反トランプ票が約7割存在すると述べて「トランプ効果」は限定的であった分析した。一方、米ワシントン・ポスト紙の政治コラムニストカレン・タマルティ氏は、反トランプを明確に打ち出したのはドーラン氏のみであったので、約8割がトランプ支持を表明したことになると議論した。トランプ効果は決して小さくなかったというのだ。

 オハイオ州でバンス氏を勝利に導いたトランプ前大統領は、5月17日に行われる東部ペンシルべニア州での共和党上院予備選挙に焦点を当てている。同州では候補者が乱立し混戦の様相を呈しているが、トランプ氏から推薦を得たトルコ系米国人の元医師マホメット・オズ博士と、ヘッジファンド会社ブリッジウォーター元CEO(最高経営責任者)で退役軍人でもあるデイビッド・マコーミック氏の上位2名が熾烈な戦いを展開している。

 フランクリン&マーシャル大学(東部ペンシルべニア州)の世論調査(22年4月20日~5月1日実施)によれば、オズ博士の支持率は18%、マコーミック氏は16%で大接戦になっている。トランプ氏の推薦にも関わらず、オズ博士の勝利は半々の見込み(coin flip)とみられている。

 さらに、5月24日に実施される南部ジョージア州の共和党知事予備選挙では、トランプ前大統領が推薦したデイビット・パーデュー元上院議員は、現職のブライアン・ケンプ知事に大差をつけられている。ケンプ知事は20年大統領選挙でトランプ氏による選挙不正の主張を認めなかった。トランプ氏にとってケンプ氏は最も落選させたい知事であることは間違いない。

 にもかかわらず、ジョージア州アトランタにあるNBC系列のテレビ局WXIAが4月28日に発表した世論調査によると、ケンプ氏の支持率は56%、パーデュー氏は31%であった。ケンプ氏がパーデュー氏を25ポイントも上回った。他の世論調査においてもケンプ氏のリードは揺るぎない。ジョージア州ではトランプ効果は殆ど出ていない。

 要するにトランプ効果は絶対的ではなく、各州によってその効果が異なるということである。

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