2022年8月13日(土)

経済の常識 VS 政策の非常識

2022年5月28日

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原田 泰 (はらだ・ゆたか)

名古屋商科大学ビジネススクール教授

1974年東京大学農学部卒業、博士(経済学)。経済企画庁、大和総研チーフエコノミスト、早稲田大学特任教授などを経て、2015年から日本銀行政策委員会審議委員を5年間務めた。20年4月より現職。『なぜ日本経済はうまくいかないのか』(新潮選書)など著書多数。
 

何度でも言おう、円安と物価は関係ない

 前回「物価高対策としての円高論はナンセンス」でも述べたが、物価と円安の関係について再度コメントしておきたい。まず、事実として日本はたいして円安になっていない。

 図2は2022年1月4日を100として円、ユーロ、ポンド、豪ドル、スイスフラン、人民元の対ドルレートを示したものである。対ドルレートであるから、数字が大きくなるのが各国の通貨安である。確かに日本は12%程度円安になっているが、ポンド、スイスフラン、ユーロ、人民元も5~10%通貨安になっている。

 豪ドルはほとんど下落していないが、資源高なのだから、資源国のオーストラリアの通貨が下落しないのは当然だろう。対ドルでいずれの国も数字が大きくなっているので、ドルは他の国比べて上昇したことになる。日本は、ドルに対しては12%安だが、ポンド、スイスフラン、ユーロ、人民元には5%程度の円安にしかなっていない。

 では、この円安で日本の物価は上がっているだろうか。図3は図2の国(ユーロはドイツを示している)の消費者物価指数を示したものだが、一番物価が上昇しているのはもっとも自国通貨高の米国で、もっとも物価が上がっていないのはもっとも自国通貨安の日本である。

 そもそもエネルギー価格の高騰と円安とは別々の現象である。前回も説明したように、現在起きていることは、インフレや円安というより、エネルギー価格の高騰である。エネルギー価格の高騰は物価に反映させるより仕方がない。

  
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