2024年2月22日(木)

お花畑の農業論にモノ申す

2022年5月31日

 ところがこの取りまとめには、肝心の市場運営主体などは全く決まっておらず、検討委員の意見が羅列されているだけであった。このため現在、農水省は生産者や集荷業界、流通業者らに意見を聞き、再度検討して市場プランを提出する予定という段階に留まっている。

コメを産業化するための「市場」になっているのか

 3月に公表された現物市場検討会の報告書に何が書かれているかと言うと、「関係者の⽴場に応じた多様な取引需要をマッチングし、納得感のある取引を実現する場として現物市場を設計」「需給を反映した取引の情報として、取引量と取引価格に関する情報を⽣産者を始めとする関係者への需給シグナルとして伝達」「今後⼀層具体化してスタートし、取引参加者のニーズを踏まえながら⾒直し」――とされ、現物市場については大口取引と小口取引に分けた概念を示しただけで運営主体など具体的な記述は一切ない。

 この検討委員会のメンバーの一人は「これまでコメの価格がどこで決まっているのか分からなかったので、公の市場が出来ることを期待していた。ところが検討会では具体的内容は一切決まらず、取りまとめも参加委員の意見を総花的にまとめただけのものになった」と落胆している。そもそも論としてコメの先物市場を認めず、現物市場をつくるという政策の整合性がどこにあるのかという問題に突き当たる。

 農水省に「コメを産業化する」という意思があれば、世界の穀物市場を例に挙げるまでもなく、現物市場と先物市場は両方とも産業のインフラとして欠くことのできないものであることは明らかだ。先物市場を認めず新たに現物市場を作るという発想そのものがおかしい。

 コメの先物市場本上場を認可しなかったのは「コメの価格が市場で決まることに反対する勢力」に押しつぶされたとしか言いようがない。その結果、現物市場検討会の報告書で「大口取引の定期取引は年7回程度」という案を示したのである。年7回しか取引しないところを「市場」と呼べるのか? またそれで生産者や流通業者が価格変動に対処できるのかと言った問題が浮上する。

 農水省は市場プランを具体化するために市場に参加するであろうと見込まれる生産者や農協、集荷業や卸等にヒヤリングを行っている最中であるが、面白いことに農水省からヒヤリングを受けている集荷業者団体の中には事前に以下のような疑問を持っているところもある。

〇現状、米取引に関する情報をどのような形で収集・発信しているのか?
〇売り手・買い手としてどのような方々に参加してほしいか?
< 取引の場>
〇どのような現物市場であれば活用したいか?
*販売価格・手数料のイメージ
*取引のインセチイブは何を求めるか?
〇現物市場での出荷・調達量はどの程度になると想定しているか?
<価格指標>
〇相対取引価格の公表について改善すべき点は何か?
〇1産地品種銘柄当たりどの程度の取引量があれば、価格指標として意味をもつのか?

 農水省の報告書を見ればこの集荷業者団体でなくとも同じような疑問が涌くだろう。

 では、市場の参加者として目されるコメ卸はどのような市場を求めているのか? 複数のコメ卸経営者に集まってもらい率直な意見を聞いてみた。


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