2024年12月23日(月)

バイデンのアメリカ

2022年6月20日

 中でも、連邦議会において、ウクライナに際限なく軍事・経済援助を続けることに批判的な共和党議員たちの動向は、興味深い。

 例えば、先の400億ドルに達する対ウクライナ追加支援法案に反対した共和党上院議員の中で、マイク・ブラウン議員は「コストがかかりすぎ、財政赤字の悪化につながる」ことを挙げ、ランド・ポール議員は「援助額の具体的支出先の十分な審議を欠き、垂れ流しになる」と厳しく批判し続けてきた。

 中には、予備選で頭角を現わし、11月本選での当選が有力視されているJ.D.バンス氏のように「率直に言って、ウクライナがどうなろうと、個人的には大して気にしない」といった無関心派も少なくないという。

東アジア情勢にも大きく影響

 対中、台湾政策スタンスも、要注意だ。

 ここ数年、中国が南シナ海、東シナ海における軍事プレゼンス強化に乗り出してきたのを受けて、米上下両院では、政府が台湾に対してとってきた「戦略的曖昧戦略」の見直しを求める声が高まりつつある。

 しかしその一方で、民主党のみならず、共和党「非介入主義者」たちの間でも、もし、中国が台湾侵攻した場合、米国の軍事介入に極めて慎重な主張が出始めている。とくに、ロシアのウクライナ侵攻以来、対露経済制裁の結果として、ガソリンをはじめとする物価高騰、財政悪化が国民生活にとっても重圧となり始めて以来、台湾問題についても、慎重派が拡大しつつある。

 この点では、大統領在任中、韓国に対し、在韓米軍駐留費の肩代わりに応じない場合、米軍撤退も辞さない姿勢をとってきた、自国経済最優先の〝トランプ・ドクトリン〟の流れをくむものであり、台湾にとっても気がかりであることに変わりない。

 「非介入主義者」たちは、米中貿易についても、支持基盤である農業州、「ラストベルト」(錆びついた工業地帯)の立場を意識して、より厳しい輸入規制措置の必要性を訴えてきた。中間選挙において、これらのグループが共和党伝統派以上に議席数を増やすことになった場合、党内の混乱もより深刻化することが予想されよう。

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