2022年11月28日(月)

バイデンのアメリカ

2022年6月8日

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斎藤 彰 (さいとう・あきら)

ジャーナリスト、元読売新聞アメリカ総局長

1966年早稲田大学卒業。68年米カリフォルニア州立大学バークレー校大学院修士課程修了、70年読売新聞入社。ワシントン常駐特派員を2度務めた後、アメリカ総局長、東京本社取締役調査研究本部長などを歴任。著書に『中国VSアメリカ』『アメリカはカムバックする!』(いずれもウェッジ)がある。

 バイデン大統領は最近、各地で銃乱射・死亡事件が相次いだことに業を煮やし、去る2日、直接国民向けの演説で、本格的な銃規制の必要性を訴えた。だが、保守派で固めた連邦最高裁が近く、これに逆行するかのような規制を撤廃する構えを見せている。

テキサス州の小学校での銃乱射へは、バイデン大統領夫妻が慰問した(AP/アフロ)

各地で多発する銃撃事件

 銃砲所持が事実上野放しとなっている米社会で、最近、以下のような痛ましい銃乱射事件が相次ぎ、多くの市民が犠牲となった:

 5月14日、ニューヨーク州バッファローのスーパーマーケットに18歳の白人男が買い物客を装って訪れ、いきなり所持していたライフル銃を所かまわず発砲、買い物中だった住民10人が死亡、3人が重軽傷を負った。男は、白人至上主義者として知られ、普段から、黒人、ヒスパニックに反感を持っていたという。

 5月24日、テキサス州ユバルデ市内の小学校で、18歳の男が自動小銃を持って教室内に侵入、何の警告もなしにいきなり乱射に及び、児童19人、教員2人らを射殺。犯人はかけつけた警察隊との銃撃戦で間もなく死亡したが、現場には持ち込んだ1600発以上の銃弾と60個の弾倉が残されていた。

 5月31日、同じテキサス州ウェーコの市街で、見知らぬ男が通行人らにライフルで発砲、女性1人を含む4人が被弾、そのうちの1人が病院で危篤状態となった。犯人はそのまま逃走、警察は行方を追っている。 

 6月1日、オクラホマ州タルサ市のメディカルセンター・ビルに車で乗り付けた男が、乳がん治療患者病棟になっている2階に駆け上がり、ライフルとピストルの両方を振りかざしながら乱射を続けた。患者や医療関係者ら4人が死亡したほか、数人が重軽傷を負う騒ぎとなった。

 6月2日、アイオワ州エイムズ市で、教会礼拝の最中に、目の前の駐車場で銃撃があり、容疑者とみられる男を含む3人が死亡した。

 また、公営放送「NPR」の集計によると、全米各地における銃乱射事件は今年1月からの5カ月間だけで212件、公立学校を巻き添えにした事件だけでも、27件にも達し、多くの無実の市民が犠牲になっている。

銃規制強化を訴えるも、立ちはだかる〝司法の壁〟

 こうしたことから、バイデン大統領は2日夜、ホワイトハウス執務室からTVカメラを前に、銃規制を厳格化する法案の早急な成立を連邦議会に強く促すとともに、全米の有権者に対し「皆さんの怒りを11月中間選挙の主要テーマとしてぶつけるべきだ」とこぶしを振り上げながら熱っぽく訴えた。これは明らかに、民主党議員らが過去何度も銃規制法案を提出してきたにもかかわらず、そのたびに共和党議員多数の反対で廃案にされてきたことを念頭に置いたものだ。

 だが最近、それ以上に大きな話題になっているのが、本来、公正中立のはずの連邦最高裁の動きだ。

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