2022年6月25日(土)

勝負の分かれ目

2022年6月23日

»著者プロフィール

 あらためて振り返ると意外かもしれないが、武尊は天心よりも一足早くRIZINに1度だけ参戦経験がある。15年12月31日、自ら参戦をアピールしたRIZINの旗揚げ戦「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2015 さいたま3DAYS」(さいたまスーパーアリーナ)の3日目「IZAの舞」と銘打たれた大会で中国人選手のヤン・ミンとK-1ルールで対戦し、鮮やかな右ストレートで2ラウンドでKO勝ちを収めている。

 一方、7歳年下の天心は翌16年12月5日、キックボクシング大会の旗揚げ戦「KNOCK OUT vol.0」(東京ドームシティーホール)でムエタイのルンピニー・スタジアムスーパーフライ級王者ワンチャローン・PKセンチャイジムに1ラウンドKO勝ち。当時高校3年生でムエタイの現役最強王者をバックスピンキックで葬るという快挙を成し遂げ、それも手土産にする形で武尊から1年遅れでRIZINへ初参戦を果たした。

 同年12月29日の「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 2nd ROUND」でニキータ・サプンを相手にパウンドから1RKO、2日後の大みそかの「RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント FINAL ROUND」(いずれもさいたまスーパーアリーナ)ではカウイカ・オリージョを2Rでニンジャチョークと呼ばれる締め技でタップを奪い、初挑戦のMMAルールで異例の2連戦を敢行し連勝を成し遂げる。

それぞれで「最強キックボクサー」になっていく2人

 ここから天心は地上波のフジテレビ系列でも全国中継されていたRIZINを舞台にさらにスターダムにのし上がっていく。そして武尊は一時〝鎖国政策〟を貫いて原点回帰を図っていたK-1において脅威の強さを満天下に誇示し、自身の熱狂的な信者を増やしつつ伝説も築き上げていった。両雄は交わりそうで交わらない別々の道を歩み、それぞれの「最強キックボクサーロード」をまい進していくことになる。

 この間、武尊は19年3月10日に行われた「K-1 WORLD GP 2019 JAPAN ~K‘FESTA.2~」(さいたまスーパーアリーナ)」のメインでムエタイのラジャダムナンスタジアム・フェザー級王者ヨーキッサダー・ユッタチョンブリーを相手に2ラウンドKO勝利。150戦でKO負けは一度もないムエタイ最強王者を日本の「ナチュラル・ボーン・クラッシャー」が初めてダウンへ追い込み、勝ち名乗りを上げた試合を当時取材した。

 今でも筆者の脳裏には武尊が激闘後、いつものポーカーフェスとは裏腹に感情を爆発させ珍しくリング上で「K-1、サイコーッ!」と絶叫した姿と、勝利者インタビューで汗を拭いながら「人生の中でも大一番だと思って死ぬ気でやってきた」と語った言葉が鮮明に脳裏へ焼き付いている。

 天心に関してもここに至るまでのビッグマッチや、そして猛烈なメニューをこなす練習の模様を何度か取材するチャンスに恵まれた。2人の強豪キックボクサーを知る1人として純粋に「もし戦ったら、果たしてどっちが強いのだろうか」という疑問は予想しにくい〝永遠のテーマ〟だった。ただ、その結果を知りたい半面で正直なところ「怖さ」もあった。

関連記事

新着記事

»もっと見る