2024年11月24日(日)

WEDGE REPORT

2022年6月25日

 ――ロシア軍の戦死者も多数にのぼっているようだが。

 大使「ウクライナ軍の発表によれば、ロシア軍は開戦以来6月19日までに3万3600人が戦死、ラダキン国防参謀総長もロシア軍の戦死、負傷者あわせて5万人に達していると述べている。英国防省は5月下旬の段階で、ロシアの戦死者は9年間続いたアフガニスタン戦争での1万5千人に匹敵する数にのぼったと指摘していた」

 ――ウクライナ国内の情勢、避難民の状況などはどうか。

 大使「ウクライナ国内の避難民は、5月初めには800万人以上が東部や南部から中部や西部に避難していた。しかし、その後、徐々に戻り始め、5月下旬には713万人にまで減少した」

 「国外への避難民は、なお出国する人もみられるが、逆にウクライナに帰還する人も増えている。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、6月中旬、出国者数は約756万人にのぼったが、国内への帰還者も247万人にまで増えた。国外でウクライナ避難民に登録されている人は510万人。日本が受け入れた避難民は、1300人にのぼっている」

求められる厳正な対応

 ――国民の士気が阻喪されていることはないか。

 大使「各地のウクライナ人関係者の証言を総合すると、西部や首都キーウを含む中部では、生活が徐々に正常化している。戦時下での国民の士気の高さと団結を示す指標として、犯罪発生率は、ウクライナ国家警察によれば、開戦以来一般犯罪は半減している」 

 ――プーチンが核、生物・化学兵器など大量破壊兵器の使用に踏み切る恐れが指摘されているが。

 大使「わが国は唯一の戦争被爆国として核兵器の非人道性を知り尽くしている。核兵器による威嚇、使用、生物・化学兵器の使用など、いかなる場所、状況においても決して許されない。3月24日に開催されたG7首脳会合で発表された声明は、『化学・生物及び核兵器によるいかなる威嚇に対しても警告を発する』と強い調子で述べている。各国一致して圧力をかけ、絶対に断念させなければならない」 

 ――鬼畜の所業とも言うべきロシアの戦争犯罪の責任者を処罰する必要がある。

 大使「罪もない民間人が多数殺害されている。残虐な行為に強い衝撃を受け、深刻に受け止めている。重大な国際人道法違反、戦争犯罪であり、厳しく非難する」

 「真相が徹底的に解明され、ロシアは戦争犯罪の責任を厳しく問われるべきだ。わが国も、今回の事態を国際刑事裁判所(ICC)に付託している。ICCの検察官は、すでに捜査を始めており、捜査の進展を期待している」

(後編に続く)

 
 『Wedge』2022年6月号で「プーチンによる戦争に世界は決して屈しない」を特集しております。
 ロシアのウクライナ侵攻は長期戦の様相を呈し始め、ロシア軍による市民の虐殺も明らかになった。日本を含めた世界はロシアとの対峙を覚悟し、経済制裁をいっそう強めつつある。もはや「戦前」には戻れない。安全保障、エネルギー、経済……不可逆の変化と向き合わねばならない。これ以上、戦火を広げないために、世界は、そして日本は何をすべきなのか。
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