2024年5月29日(水)

WEDGE REPORT

2022年6月27日

 軍加算点制度とは1961年に始まった制度で、兵役中に就職活動ができないことを考慮して、公務員試験試験や教員試験で、2年以上兵役の義務を果たした者には得点の5%、2年未満の者には3%を加算することになっていた。しかし、この制度は兵役の義務がない女性や身体基準が満たない社会的弱者への差別につながるとして議論を呼び、99年に憲法裁判所が違憲判断を示したことで廃止された。

 いかがだろうか? 青春の貴重な時間を兵役に取られたのに国家は何ら報いないばかりか、兵役の義務から守られた女性ばかり優遇する――韓国男性の怨嗟の声が聞こえてきそうだ。そして、実際に韓国男性はその声を政治にぶつけた。

女性徴兵を大真面目に議論

 韓国には文在寅前大統領が導入した国民請願制度というものがある。大統領府ホームページに請願を登録して30日間に20万以上の同意を受ければ、政府や大統領関係者が請願に回答するという直接民主主義的な制度は、今や韓国で欠かせない政治システムになっている。

 この国民請願で、女性に兵役の義務を課すべきとする女性徴兵制の請願が実に8回も提出されている。そして、2021年4月請願は条件を満たしたため、大統領府は「女性徴兵制は兵力補充だけの問題ではなくさまざまな争点を含んでおり、国民的共感と社会的合意など十分な議論を経て慎重に決定しなければならない」と、女性徴兵制を否定する回答を示した。

 いま米軍では特殊部隊、自衛隊では歩兵(普通科)や潜水艦までも女性軍人・自衛官が配置されている。通信や情報、補給など後方部隊だけなく、実際に血を流し、敵を殺傷する戦闘部隊への女性軍人の門戸開放は世の流れ。韓国軍でも女性軍人が7.4%を占める。そうであれば、女性が兵役に耐えられないわけはない――。

 だが、果たしてそうだろうか。常識的に考えれば、女性徴兵制の導入は愚の骨頂だろう。仮に韓国で女性徴兵制が実際された場合、貴重な労働人口である20代男女の2割程度が兵役に就くことになり、そこから生じる経済的損失はBTS活動休止の比ではない。つまり、韓国ではこのような常識が通用しないほどに、若い世代の男女対立が深刻だということだろう。

 世界中の話題をかっさらったBTS活動休止騒動からは、韓国社会の裏事情が垣間見られる。

   
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