千佳の告白を聞いて、茫然とする徹生だった。千佳は続ける。
「それから佐伯の声が、頭のなかで何度も聞こえてきた。もっと違ったタイミングで別の言葉でいわれていたら、徹ちゃんが戻ってこなかったら、わからないと思う。だって生きなきゃいけないでしょ。
瑠久が私を生きさせてくれた。頑張って、笑うようにしていた。瑠久を暗い子にしたくないから」
生き返ってよかったのか
知人のスーパーで働き始めた、徹生だったが、転職先を探して面接を受け続ける。しかし、「復生者」というだけで、どの企業も受け入れを断ってくる。
公園のベンチでたたずむ、徹生にガードマンの制服をまとった、佐伯の幻影と声が幻聴となって聞こえてくる。
「生き返って、よかったですか? 死んだままのほうがよかったですか?」
ラストシーンが、サスペンスの恐怖をさらにましていく。千佳が何者かに携帯電話で話をしている。
「わたしが誤っていました。わたしが悪いんです」