さらに注目されるのは本書の終章で後悔を回避し、後悔に対処するための10の方法という部分である。自己分析をするために非常に有効なポイントが示されている。詳しくは本書を参照していただきたいが、著者も指摘するように、重要なことは「自分で考え、自分で決めて、結果を受け入れ、教訓にする」ということだという。
後悔は良薬にすることができる
人は生きている限り、後悔からは逃れられない。後悔は気分の落ち込みや体調不良などを招く場合もある。自分を責めたりすることもあるだろう。だが、しかし著者の以下の指摘には勇気づけられる。
後悔することは悪いことだけではない。自分を成長させるための薬にもなりうる。 (中略) 後悔を良薬にするためには、後悔したことを反省し、そしてその後悔から学ぶことが必要となる。そうすることによって、自分をより成長させ、同じ過ちを繰り返さないようになったり、適切でない行動を適切な行動へ変化させたりすることが可能になる。
生きているうえで避けられないさまざまな思いを自己管理し、どう前向きな力に変えてゆくか。本書にはその多くのヒントが詰まっている。
人それぞれに異なる「後悔」というとらえきれない内面心理を科学的に分析し、分かりやすく示した。たとえ最悪な結果となっても十分対応することができるという意味で、人生の危機管理の要諦を指南してくれる力作である。