ある先生が壺の中に岩を入れていき、いっぱいになったときに「この壺には満杯か?」と生徒に問うと「はい」と生徒たちは答える。「いや違う」と先生は言って砂利を岩の間に流し込んでいく。
「これでいっぱいになったと思うか」と訊くと「多分違います」と生徒は答える。先生は「そうだ」と言って砂利の間に砂をサラサラと入れていく。また「この壺は満杯か?」と先生が訊くと生徒たちは「いいえ」と答える。すると先生は水差しを取り出して、壺に水をなみなみと注いでいく。
そして最後に先生は「私が言いたいのは何だと思う?」と生徒に尋ねる。
「いっぱいになっていると思っているものでも、努力をすればまだまだ詰め込めるという話です」と生徒が言うが、先生は「それは違う」と答える。
人生はこの壺のようなものだ。大きな岩を先に入れない限り、それをいれる余地はその後二度とないということだ。君たちにとって「大きな岩とは何だろう」と問いかける、という話だ。
仕事であったり、家庭であったり人それぞれ「大きな岩」は違うと思うが、子育て中の親にとっては「子どもとの時間」がそれにあたることは間違いないだろう。成人まで18年。親と過ごすのが楽しいのは十数年だろう。
筆者自身、今振り返ると壺に入れる順番を間違えたかな? と思うことはある。仕事より子育てを優先すればよかった、という単純な話ではなく、少なくとも壺はすぐに一杯になってしまうこと、つまり子育ての時間はとても短いことをもっと意識すべきだったと思う。
家庭での「逆算」の仕方は?
仕事やお金はあとからでも挽回できるが、子どもの時間は取り戻せない。
いずれにせよ、ビジネスでも子育てでも時間は有限であり、「やるべきことの優先順位づけ」は大事だ。つまり、優先順位を決めた上で逆算して行動しなければ取り戻せないことがある、ということだ。
仕事に、子育てに忙しいママさん、パパさん、今、あなたにとっての「大きな岩」はなんだろうか。それは、仕事の上で掲げる「先の目標」とは異なる。
たまには子どもを寝かしつけた後、夫婦でお酒でもお茶でもゆっくり飲みながら、今、お互いが最も大切にしたいこと(=大きな岩)は何かを改めて話し合ってみてはいかがだろうか。