2024年4月26日(金)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2022年9月19日

 今の中国のシナリオは、台湾圧迫のための封鎖、すなわち本島侵攻の前哨戦としての封鎖の可能性が高いと思われる。その意味でここ1、2年の台湾海峡情勢は一層深刻になっている。この記事が指摘するような強力な封鎖戦略は大いにあり得るシナリオだろう。

西側諸国と日本がすべきこと

 かかる事態への西側諸国の対応は、外交と抑止力強化になる。相手の軍事力・軍事行動の強化に対しては、抑止力のバランスで対応していく他ない。力のバランスがなければ外交はなお難しい。台湾問題は段々そういう厳しい現実になっている。

 具体的には、台湾の防衛力強化、西側同盟の緊密化、台湾防衛力への米国の支援強化が重要となろう。米国政府は、9月2日、総額11億ドルの台湾への武器売却を決め、米議会に通知したと発表した。台湾関係法に沿って、対艦ミサイル「ハープーン」や空対空ミサイル「サイドワインダー」、早期警戒レーダーなどを売却すると言われている。

 日本としては、「台湾の有事は日本の有事、さらに日米同盟の有事」との視点から、尖閣諸島を含む南西先島諸島の防衛強化、イージス・アショアの凍結後の対応を含む日米同盟の強化等、一つ一つ取り組む必要があるだろう。本年中に取りまとめる予定の国家安全保障戦略等の文書にも盛り込まれるだろうが、着実に日本の防衛力強化、すなわち抑止力の向上を進める以外にない。防衛費のみの議論にとどまらず、戦略的観点から物事を行うことを望むばかりである。

   
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