自らの現役時代に通算868本塁打の世界記録を達成しているレジェンド・王氏が村上の偉業達成に関し「この頃はデータで研究してくる。と同時に今は(投手が)分業制だから1試合で同じピッチャーに4回当たるなんてことはない。そういう中でホームランを量産するのはわれわれの時代よりも難しい」と評していることは特筆すべきところだろう。
すでにMLBが「MURAKAMI」を特集
9月15日現在で村上は打率3割3分7厘、132打点をマークし、いずれもリーグトップ、そして言うまでもなく55本塁打は断トツの成績だ。史上最年少、令和初の三冠王達成も現実味を帯びてきた。
NPBの枠組みに収まり切れなくなりつつある規格外のジャパニーズモンスターは今、野球の本場・米国からも熱い視線を浴びている。米大リーグ(MLB)公式サイトは本塁打量産でア・リーグ記録の61本塁打に迫っているニューヨーク・ヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手を引き合いに出し、日本のNPBで旋風を巻き起こす村上の活躍ぶりを「ジャッジだけではない:海の向こう側で本塁打記録に挑むスラッガーがいる」と題した記事で紹介。米スポーツ専門局「ESPN」や「CBSスポーツ」(電子版)など他の米主要メディアも今から58年前に「サダハル・オー」が作り上げたシーズン日本選手記録に並んだ若きスラッガーの「MUNETAKA MURAKAMI」について詳細にリポートしている。
米国内でもムネタカ・ムラカミの名が徐々に広まり始めている中、すでにMLBの複数球団はこのスワローズの22歳スラッガーに照準を定めて将来的な獲得を前提とし、水面下で調査を開始している。実際にヤクルト戦では今季、ネット裏でMLB球団の関係者や極東スカウトたちがグラウンド上の村上の一挙一動に目を配り続けており、細部にわたるスカウティングリポートの材料収集に余念がない様子はここまで幾度となく目撃されている。
そのうちのMLBスカウトの1人は次のように村上を絶賛する。
「狙い球を確実に仕留め、ミスショットがほぼない。つまり穴が見つからないのです。インコースもまるで苦にしなくなっている。彼は客観的に自分のウィークポイントを冷静に分析し、克服しようとする向上心が非常に強い。端的に言えば『世界最高の打者になりたい』という思いを本気で抱いているのでしょう。
おそらく彼自身は今の自分にも全く満足していないと思います。能力の高さだけでなく、こういうアグレッシブな姿勢を持ち合わせているところもMLBの多くの球団が彼を獲得する上で重要視している要素です。
技術面、精神面も素晴らしいし、まだ22歳とはとても思えない。本音を言えば、今すぐにでもMLB移籍を決断してほしいぐらい」
ちなみに王氏も村上を「今の成績になっても全然慢心しているところが見えない」と同様に評し、やはり野球に対して常にアグレッシブな姿勢で取り組み続けている点に感嘆の声をあげていた。サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手も各メディアの取材に対し、村上の偉業達成についてコメントを求められると「本当にすごい。待ち望まれたというか、日本人であったり王さんの記録に並ぶ、超える人っていうのはなかなか出てこないと思っていたので、そういう選手があの年齢で出てきたというのはすごく日本球界にとっても大きい」と称賛し「いつかメジャーに来ると思うんで、こっちでも打ってほしいなと思う」とエールを送っている。