メジャー移籍への〝壁〟
それでは村上が海を渡るXデーは果たしていつになるのだろうか。MLBで施行されている現行ルールでは25歳以下の海外選手は移籍契約金や年俸が年間500万ドル(約7億2000万円)程度に制限され、マイナー契約からスタートしなければならないと定められている。その「25歳ルール」を鑑みれば、3年後の2025年オフが有力視されるが、ヤクルトOBの1人は「そうとも限らない」と口にし、こう続ける。
「村上選手のメジャーリーグ移籍願望が高いことは彼に近い関係者ならば誰もが把握し、承知している。現時点でその気持ちが固まっていないことは当然だが、全てはタイミングだと思う。
来年3月の第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で彼は日本代表・侍ジャパンの4番として日の丸のユニホームを着用することになるだろう。そして、そのWBCには多くのメジャーリーガーも各国の代表として参加するので、MLB各球団にとっては村上選手の対メジャーリーガーとの実力チェックを兼ねた〝見本市〟となるのは必至だ。
ここで評価をさらに上げ、MLBからのラブコールが強まれば、さらに移籍機運が高まっていく可能性も十分ある。かつての北海道日本ハムファイターズ時代のダルビッシュ選手のように『日本でやり残したことはもうない』という境遇に村上選手が近いうちに直面するかもしれない。
そうなれば、たとえ25歳以下のマイナー契約であろうとも村上選手自身が受け入れ、そしてヤクルト球団も本人の夢を尊重し、25年オフを前にポスティングシステムによるメジャー移籍に踏み切ることも考えられるのではないか」
ニューヨーク・ヤンキースやロサンゼルス・ドジャースなどの名門球団が早くも村上の動向をくまなく目配りしているとの情報もある。ただ前出のMLBスカウトが「われわれは村上の〝Xデー〟が直近ではないことが分かっている。気長に待つ」と話していることからも、村上のMLB移籍話にすぐさま火が付くことはさすがに非現実的な流れと言えそうだ。
いずれにせよ、日米からスポットライトを浴びる村上の今後の飛躍から目が離せない。